【ハリケーン・レイン】ハワイ本島に最接近か 直撃すれば26年ぶり
ハリケーンはハワイを避けるー。
現地ではよくこんな話を耳にします。それもそのはず、ハワイは過去60年間で2回しかハリケーンの直撃を受けたことがないのです。しかしそんな神話を覆すかのように、現在ハリケーン・レイン(Lane)がハワイ本島に進んでおり、現地時間23日(木)から25日(土)にかけて接近する見込みで、直撃の恐れすら出ています。
ハリケーン・レインの進路
現地時間22日(水)朝のレインの中心気圧は935hPa、最大風速69メートルで「カテゴリー4(上から2番目に強い)」の勢力です。
現在レインは西に進んでいますが、高気圧の縁を流れる風に乗って北向きに進路を変える見込みです。北上に伴って、海水温が低いところを通るために勢力をやや落としながら、現地時間23日(木)から25日(土)にかけてハワイ本島に最接近、または直撃する可能性があります。
なお、レインは未明に一時風速が72メートルとなり「カテゴリー5」に達しました。米気象局によると、これまでに「カテゴリー5」の強さでハワイの500キロ圏内に接近したハリケーンは、1994年のJohnの一例しかないということです。
予想雨量など
予想される風や雨の予想は下図の通りです。
なお「高潮」とは、津波のように海面全体が盛り上がる現象で、これに波が加わるために浸水などのリスクが高まります。
過去にハワイを直撃したハリケーン
観測開始以来ハワイ本島を直撃したハリケーンは、1959年のドット(Dot)と1992年のイニキ(Iniki)のみです。その両方とも南の海上から北上するという珍しいコースをとり、カウアイ島を通過しました。
特にイニキはハワイ史上最強のハリケーンで、カテゴリー4の勢力のままカウアイ島を直撃しました。最大瞬間風速72メートルの突風が観測され、およそ1,000人がケガ、1,500軒以上の建物が倒壊するなど、甚大な被害をもたらしました。
余談ですが、ちょうどこの頃、カウアイ島でスピルバーグ監督の映画「ジュラシックパーク」の撮影が行われていて、映画のワンシーンに本物の嵐の映像が使われたのだとか。
なぜハリケーンはハワイを避けるのか
ところで、そもそもなぜハワイにハリケーンが少ないのでしょう。
まずハワイにはほぼ常に貿易風と呼ばれる北東の風が吹いているために、ハリケーンが南の海上にとどまることが挙げられます。さらにハワイ近海の海水温が比較的低いために、ハワイに到達する前に弱まってしまうことなどが原因とされています。
このようにハリケーンの襲来が極めて少ないハワイでは、嵐の対策が十分ではない家も数多く建っています。例えば、シングルウォール工法と呼ばれる建築法で建てられた薄い壁でできた家や、大きな窓がある開放的な家などです。
ほとんど前例のないハリケーンの接近に、多くの学校が休校、主要道路が閉鎖されたり、航空便のキャンセルなどが起きているもようです。また人々が食糧を買い込んでいるため、コストコなどでは飲料水が品切れ状態だとも伝えられています。
現地にいらっしゃる皆様は、身の安全を確保し、くれぐれもご注意なさってください。
※最新のハリケーン情報はこちらをご覧ください。
=追記 (8/27)=
レインはハワイを直撃しなかったものの、記録的な大雨や洪水・土砂災害をもたらしました。ハワイ島のマウンテンビューでは4日間で雨量が1,300ミリを超え、ハリケーンによる雨の記録の中では全米史上3番目となりました。またハワイ島のヒロでは、4日間のうちに史上最大の記録となる934mmの雨が降りました。