ヨーロッパで、深刻な洪水のおそれ
2002年8月、ヨーロッパ中部は壊滅的な洪水に見舞われました。
ドイツやオーストリアなどで計230人以上が亡くなり、水に浸かったプラハ動物園ではゾウが溺れ命を落としました。
その洪水に匹敵するかもしれない記録的な洪水が、来週にかけてヨーロッパ中部で予想されています。
降水の予想
下の動画は今後の降水の予想です。
イギリス気象庁は、「週末にかけて、中央ヨーロッパおよび南ヨーロッパでは極端な降雨が予測されており、200〜300mmの降水が予想されています(9月の平均の2倍)。一部の河川では100年に一度の規模の洪水が発生する可能性があります」と発表しました。
スイスの気象機関は、「現在の予報図は、2002年の壊滅的な洪水を思い起こさせます」と記しています。
記録的大雪も
すでにルーマニアなどでは死者が出るほどの洪水が発生しており、アルプス山脈では、この時期としては記録的な低温かつ、前例のない大雪が降っています。
原因は「ボリス」と地中海
大雨の原因は何でしょうか。
上空に寒気を伴う低気圧「ボリス(Boris)」です。現在バルカン半島付近に中心を持ち、渦を巻いています。問題はボリスが停滞することです。
このために、南からは地中海からの湿気が流入し雨が降り続き、北からは寒気が引きずりおろされて、雪が長時間にわたって降り続けます。
ボリスに加え、地中海の異常な高温も影響を及ぼしていると考えられます。一部の海域では、海水温が平年よりも約6度も高くなっています。その結果、大気中にはより多くの水蒸気が供給されています。
なお、世界の海水温の平均は、5年連続で過去1位の記録を更新し続け、それが大雨をもたらす一因となっています。
世界の大雨
今年は、いや、今年もというべきでしょう。世界中では驚くほどの大雨が降っています。大雨の影響は、いろいろな地域で深刻な被害をもたらしています。直近では、ベトナムに台風11号が上陸して、230人以上が命を落としました。
大雨のリスクが増える一方で、今日の天気予報は、特に直近の予報などは、非常に高い精度を誇っています。しかし、どれほど正確な予報があったとしても、それだけでは命を守ることはできません。
その予報を基に、人々がどのように行動するかが重要です。空振りを恐れずに避難することや、日ごろから防災意識を高めておくことが、今後ますます大切になってきます。