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平成の新人王。20年前に受賞した2人は今も現役

宇根夏樹ベースボール・ライター
松坂大輔 OCT 25, 1998(写真:岡沢克郎/アフロ)

 平成の新人王59人のうち、43人(72.9%)は投手だ。野手は16人(27.1%)に過ぎない。平成12年(2000年)のパ・リーグは、該当者がいなかった。それに対し、メジャーリーグではまったく反対の傾向が出ている。同じスパン(1989~2018年)の受賞者60人中、投手は16.5人(27.5%)、野手は43.5人(72.5%)。昨年、ア・リーグの新人王に選ばれた大谷翔平は、0.5人ずつに振り分けた。ちなみに、野茂英雄は日米で新人王を手にした唯一の選手だ。それぞれ、平成2年(1990年)と平成7年(1995年)に選出された。

 もっとも、日米のこの違いは平成に限ったことではない。平成となる前の30年間、昭和34~63年(1959~88年)も、日本プロ野球では投手が受賞者の60.8%(31/51)を占め、メジャーリーグは野手が74.2%(46/62)に上った。

 また、平成の新人王を受賞時の球団ごとに分けると、読売ジャイアンツが最も多く、7人を数える。パ・リーグの最多球団は、6人の日本ハムファイターズ/北海道日本ハムファイターズだ。これは、平成前の30年間も同じ。読売は8人の新人王を輩出し、東映フライヤーズ/日拓ホームフライヤーズ/日本ハムからは7人が選ばれた。ただ、読売の選手による受賞は、平成20~23年(2008~11年)に、山口鉄也松本哲也長野久義澤村拓一の4人が続いたのを最後に途絶え、現在は「セ・リーグで最も新人王から遠ざかる球団」となっている。

筆者作成
筆者作成

 受賞者59人のうち、現役選手を除くと、最もキャリアが短かったのは森田幸一だ。一軍デビューした平成3年(1991年)に50登板で89.0イニングを投げ、10勝3敗、17セーブ、防御率3.03を記録したが、その後は3シーズンで計67登板に終わった。一方、キャリア最長は平井正史。シーズン最多セーブは新人王に選ばれた平成7年(1995年)の27で、1ケタ登板のシーズンも7度ながら、受賞前年を含め、21シーズンにわたって一軍のマウンドに上がった。

 平成11年(1999年)に受賞した上原浩治は、日本プロ野球で10シーズン、メジャーリーグで9シーズンを過ごした後、昨シーズンは再び日本プロ野球で投げた。日米を合算すれば、今シーズンの初登板とともに、平井の21シーズンに並ぶ。上原と同年に新人王の松坂大輔は、登板なしのシーズンが2度あるが、こちらも現役続行中だ。2人より前の年に新人王を受賞した選手は、メジャーリーグを含め、すでに全員が選手生活にピリオドを打っている。

 なお、「平成」あるいは「昭和と平成」を振り返った姉妹編はこちら。

平成のタイトル・ホルダーズ/投手編 シーズン三冠は、野茂英雄、上原浩治、マエケン、菅野智之と…

平成のタイトル・ホルダーズ。首位打者、本塁打王、打点王をすべて獲得したのは、三冠王の松中信彦と…

「昭和」と「平成」のどちらでも50勝以上を挙げた5投手のうち、3人は広島カープで記録

「昭和」と「平成」を駆け抜けたスピードスター。両元号でそれぞれ150盗塁&20三塁打を記録

「昭和」と「平成」にそれぞれ100本以上のホームランを打ったのは4人。落合博満と原辰徳、あと2人は…

「平成の2000安打」は日米合算を含めて28人。ただし、日本プロ野球では2安打の選手も

「平成の200勝投手」は3人。野茂英雄と黒田博樹は日米合算、残る1人は日本で214勝

「平成のホームラン王」は誰? タイトル獲得は中村剛也が最も多く、通算本数は金本知憲が1位だが…

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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