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フードジャーナリストが実食して厳選! 絶対に食べるべき「福岡天神ランチ」5選!

山路力也フードジャーナリスト
ラーメンやうどんだけが福岡グルメではない。

ラーメンやうどんだけではない福岡のランチ

多くの飲食店が軒を連ねる天神エリアで食べるべきランチとは。
多くの飲食店が軒を連ねる天神エリアで食べるべきランチとは。

 福岡を代表する料理言って思い浮かべるものは何だろう。ラーメン、うどん、豚バラ、水炊き、もつ鍋など、福岡を代表するグルメは数多くあるが、他にも食べるべき地元民が愛する料理はたくさんある。

 福岡屈指の繁華街で多くの飲食店が集う「天神」で、誰もが知るラーメンやうどんではなく、知る人ぞ知る必食のランチを実食して厳選。いつもと違った天神ランチで福岡の食文化の奥深さを体感してみよう。

戦後から愛され続ける海老天の技 『飛うめ』の「天とじ丼」

新天町で戦後から続く蕎麦店『飛うめ』の名物は丼ものだ。
新天町で戦後から続く蕎麦店『飛うめ』の名物は丼ものだ。

 空襲の被害を受けた天神の復興と共に、1946(昭和21)年に誕生した商店街が『新天町商店街』。飲食店をはじめ100店舗ほどが集うアーケードが出来た時から続く人気の蕎麦店が『飛うめ』(福岡県福岡市中央区天神2−7−141)。福岡には珍しく東京スタイルのキリリとした出汁が特徴の蕎麦を提供しているが、蕎麦と並ぶ名物が「天丼」や「親子丼」の丼ものだ。

 丼からはみ出るほどの大きな海老天は、しっかりと端まで身が詰まったものが3本。プリプリとした海老の食感としっとりとした衣の食感のコントラストも楽しい。甘さと辛さのバランスが良いカエシもまた味わい深い。シンプルな「天丼」もおすすめだが「親子丼」も捨てがたい。どちらを選べば良いか迷った人には、自慢の海老天をふんわりと卵でとじた「天とじ丼」がおすすめ。

厳選ポイント:老舗の技がキラリと光る存在感ある海老天

バターとソースが味の決め手 『グルメ風月』の「ビーフバター焼き」

半世紀以上愛されている「ビーフバター焼き」は「グルメ風月」のスペシャリテ。
半世紀以上愛されている「ビーフバター焼き」は「グルメ風月」のスペシャリテ。

 1949(昭和24)年に天神で喫茶店として創業。その2年後に洋食店としてスタートしたのが『グルメ風月』(西鉄福岡天神駅店:福岡県福岡市中央区天神2-11-3 ソラリアステージ2F)。半世紀以上愛されている洋食店の代名詞とも呼べる逸品が「ビーフバター焼き」だ。

 鉄板で焼き上げた熱々の牛肉をパスタの上に乗せたシンプルな料理だが、味の決め手はバターとオリジナルのソース。ニンニクとレモンを効かせた醤油味のソースは、野菜もたっぷり使っていてさっぱりとした味わい。パスタとの相性はもちろんのこと、白飯とも合うのは洋食ならでは。知る人ぞ知る福岡の隠れソウルフードとして人気が高い。

厳選ポイント:食欲を喚起するビーフとバターの香り

70年続く専門店ならではの味 『釜めしビクトリア』の「博多釜めし」

1954(昭和29)年から新天町で暖簾と味を守り続ける『釜めしビクトリア』。
1954(昭和29)年から新天町で暖簾と味を守り続ける『釜めしビクトリア』。

 1954(昭和29)年に創業以来、70年にわたり愛され続けている釜めし専門店が『釜めしビクトリア』(福岡県福岡市中央区天神2−7−144)。前身は中洲で戦後間も無く創業されたステーキハウス。その後、東京で人気だった釜めしに創業者が目をつけて、釜めしと喫茶の店として新天町で開業した。今も買い物客や観光客などが足を運ぶ人気店だ。

 自慢の釜めしは常時10種類以上が揃う。秘伝の出汁と厳選米を注文を受けるごとに一つずつ炊いて、炊きたてを提供する。数ある釜めしメニューの中でも一番人気は、甘めの鶏そぼろと卵が敷き詰められた「博多釜めし」。途中から鶏スープを注いでお茶漬けのようにして味わうのもおすすめだ。

厳選ポイント:熱々炊き立てで優しい味わいの釜めし

数多くのミュージシャンが愛した味 『照和』の「カレーライス」

数多くのミュージシャンが巣立った聖地『照和』。
数多くのミュージシャンが巣立った聖地『照和』。

 1970(昭和45)年創業の喫茶店『照和』(福岡県福岡市中央区天神2-10-2 福田ビルB1)は、ステージを併設したライブ喫茶。当時公園で歌っていた若者たちを集めて、「音楽によって更正させたい」とステージで演奏させ、いつしかアマチュアミュージシャンたちが集う場所となった。

 『チューリップ』『海援隊』『甲斐バンド』『井上陽水』『長淵剛』など、多くのミュージシャンが巣立っていった、言わばニューミュージック界の聖地は、今も喫茶店として利用が出来る。一番人気の「照和特製カレー」や「博多めんたいパスタ」など手作りの素朴な味わいの料理を、ミュージシャンたちが青春時代を過ごした空間で楽しむことが出来る。

厳選ポイント:人気ミュージシャンたちの聖地で音楽と共に味わう

ちゃんこ鍋と麺が一つになった 『博多めんちゃんこ亭』の「めんちゃんこ」

相撲部屋で食べた「ちゃんこ鍋」がヒントになった『博多めんちゃんこ亭』の「めんちゃんこ」。
相撲部屋で食べた「ちゃんこ鍋」がヒントになった『博多めんちゃんこ亭』の「めんちゃんこ」。

 1978(昭和53)年、百道で創業した『博多めんちゃんこ亭』(天神店:福岡市中央区天神2-3-10)の名物「めんちゃんこ」は、その名の通り「ちゃんこ鍋」に麺を入れたオリジナルの麺料理。うどん店を営んでいた創業者が相撲部屋で食べたちゃんこ鍋に感動して、手軽に食べられるようにと開発。一躍人気メニューとなり、1990年代にはニューヨークやハワイにも進出、現在も天神をはじめ福岡市内外に複数店舗を構えている。

 一杯ずつ熱々の鉄鍋で提供される「めんちゃんこ」。スープは鱧をベースに十数種類の素材の旨味を引き出したもの。そこに肉や野菜などの出汁が合わさり、さらに奥深い味わいになる。国産小麦を使った麺はしっかりと煮込むことで、スープの旨みが染み込む。もつ鍋やチゲ、カレー味などのバリエーションも豊富で、具材も自由に追加が出来るので、自分好みの一杯が見つかるはずだ。

厳選ポイント:ありそうでなかったちゃんこ鍋と麺の融合

 食べ歩きの楽しさとは、他では食べたことのないような新たな料理と巡り会えること。福岡のラーメン、うどん、水炊き、もつ鍋も確かに美味しいが、それだけが福岡の食文化ではない。王道以外の福岡の料理も味わうと、さらに福岡の食べ歩きが楽しくなることを保証する。

※写真は筆者の撮影によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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