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ラーメン評論家が実食して厳選! 絶対に食べるべきラーメン5選!【2024年9月】

山路力也フードジャーナリスト
絶対に食べておくべきラーメンがある。

ラーメン評論家が心揺さぶられたラーメンとは

感動するラーメンに会うために食べ歩き続ける。
感動するラーメンに会うために食べ歩き続ける。

 ラーメン評論家として活動を始めて早四半世紀。これまで累計で20,000杯以上のラーメンを食べ歩いてきた。何十年も毎日のようにラーメンを食べていて飽きないのかと良く問われるが、作り手の数だけ味があるラーメンの世界は実に奥深く、いくら食べても飽きることはなさそうだ。

 とは言え、これだけ食べてくると感動が薄れてくるのも事実。どこかで食べたような味と出会うことも増えてきた。それでも中には感動して一気に食べてしまうようなラーメンと出会うことがある。まだ食べたことのない新しい一杯と出会える瞬間のために、日々食べ歩いていると言っても過言ではない。

 ラーメン評論家が思わず唸るラーメンとはどんなラーメンなのか。日々食べ歩きの中で出会った、お薦め出来るラーメンを毎月厳選してご紹介していきたい。とは言え味の好みは人それぞれ。私が美味しいと薦めるラーメンが好みに合うかは分からないが、誠実で丁寧に作られたラーメンばかりであることは間違いない。なお掲載順は地域別に並べているだけで優劣を示すものではない。

本場博多さながらの濃厚豚骨『三代目 博多だるま』(東京・台場)

集合施設とは思えないクオリティの一杯を提供する『三代目 博多だるま』。
集合施設とは思えないクオリティの一杯を提供する『三代目 博多だるま』。

 『アクアシティお台場』5階にあるラーメン施設『東京ラーメン国技館 舞』(東京都港区台場1-7-1)。全国の人気店が集う中で福岡代表として出店している『三代目 博多だるま』は、1963(昭和38)年創業の老舗『博多だるま』の直営店。豚骨の本場博多の本店さながらの熟成した豚骨スープを、店内の厨房で一から炊いて作っている気合いの入った店だ。

 レンゲですくえば骨粉が残るほど乳化した豚骨スープは、臭みやしつこさはなく骨味がどっしりあって油の甘さと香りがある。ザクっと硬めに茹であげた低加水細麺との相性も抜群。このクオリティは都内はもちろん、本場福岡でもトップクラスではないだろうか。半世紀受け継がれてきた古き良き昔ながらの熟成系豚骨ラーメンを、見事にアップデートした一杯になっている。

厳選ポイント:本場博多に負けないガチ炊き豚骨スープ

濃厚でキレのある家系ラーメン『大金家』(東京・亀有)

朝8時から営業しており朝ラーメンも楽しめる『大金家』。
朝8時から営業しており朝ラーメンも楽しめる『大金家』。

 2024年2月、亀有にオープンした『大金家』(東京都葛飾区亀有3-40-5)は、今家系ラーメン界で注目を集めている『大輝家』(蒲田)の直系店。亀有駅からも徒歩5分、環状7号線沿いという好立地にあり、オープンして半年ほどだが早くも行列が出来る人気店になっている。

 油分強めのどっしりと存在感あるスープに、醤油のキレがあってしつこさを感じないバランス。しっとり柔らかに仕上げられたチャーシューは燻製の香りが食欲をそそる。家系御用達の製麺所『酒井製麺』の中細麺はしっかりと茹できってある。ご飯と合うスープでもあるので、100円で食べ放題のご飯はマストだ。

厳選ポイント:パンチとキレが共存するバランス型スープ

味噌ラーメンの新たな境地『博多文福』(神奈川・新横浜)

『新横浜ラーメン博物館』に期間限定出店中の『博多文福』。
『新横浜ラーメン博物館』に期間限定出店中の『博多文福』。

 世界初のフードテーマパーク『新横浜ラーメン博物館』(神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21)で開催されたラーメンコンテスト『ラーメン登龍門』で優勝し、2024年8月から一年間の期間限定で出店中なのが、福岡に本店を構える『博多文福』。豚骨ラーメンばかりの福岡に味噌ラーメンを根付かせたいと、2021年にオープンした福岡の人気店の味が新横浜でも楽しむことが出来る。

 味噌ソムリエの資格も持つ店主は、味噌本来の風味や麹の味わいを損なわないよう、敢えて味噌には熱を加えずに生味噌のままラーメンに使っている。そのため、スープの熱で味噌の味わいが少しずつ変化していく。麺は福岡県産「ミナミノチカラ」を100%使用し、太平打ち麺と細縮れ麺の2種類の形状の麺をミックスして提供。口の中で踊るような食感の違いを楽しむことが出来る。

厳選ポイント:味噌本来の味を楽しめるスープとミックス麺

口の中で軽やかに踊る自家製麺『自家製麺 ご藤』(千葉・船橋)

幅広い客層に愛される味わい『自家製麺 ご藤』。
幅広い客層に愛される味わい『自家製麺 ご藤』。

 2024年6月オープン。『自家製麺 うろた』『六厘舎』出身の店主が、2023年に間借り営業で創業を経て今回実店舗として創業したのが『自家製麺 ご藤』(千葉県船橋市宮本6-2-27)。豊富な経験を生かしてたどり着いた一杯は、優しい味わいで丁寧な作りの醤油ラーメンだ。

 澄明で優しく丸い醤油感のあるスープはふくよかな鶏の旨味が広がる。スープの温度が下がるにつれて鶏の旨味が全面に顔を出してくる、その味の変化がとても楽しい。太い手揉み縮れ自家製麺は180g。口の中で軽やかに踊り、ツルシコ感もあって啜りやすくスープとの絡みも良い麺だ。具材の一つ一つにも丁寧な仕事を感じさせる。

厳選ポイント:優しい鶏の旨味と自家製麺の食感

豚骨本来の旨味で牽引するスープ『一真軒』(福岡・小倉)

豚骨の本場福岡で愛されている人気店『一真軒』。
豚骨の本場福岡で愛されている人気店『一真軒』。

 2011年に東京で創業し、2013年に福岡小倉へ移転。今はなき豚骨ラーメンの名店『一竜軒(唐津時代)』出身の人気店が『一真軒』(福岡県北九州市小倉北区大畠2-8-26)。福岡に移転して10年ほどだが、昔からこの場所にあったかのように、しっかりと地元の人たちの心を掴み地域密着型の人気店になっている。

 しっかりと骨味を感じさせる密度の高いスープが白眉。タレなどの調味は控えめだが、その分豚骨本来の旨味でグイグイと飲ませるバランスになっている。しっかりと茹でた細ストレート麺がしなやかにスープと絡み合う。あっさりとしているのに物足りなさを全く感じさせない、豚骨ラーメンの一つの完成形と言っても良いだろう。

厳選ポイント:豚骨の旨味で飲ませる深い味わいのスープ

【番外編:ビーチで味わう濃厚鶏白湯『'OHANABATAKE』(千葉・稲毛)】

ビーチハウスなのに専門店顔負けの味わいを提供する『'OHANABATAKE』。
ビーチハウスなのに専門店顔負けの味わいを提供する『'OHANABATAKE』。

 千葉市にある『稲毛海浜公園』(千葉県千葉市美浜)が、『SUNSET BEACH PARK INAGE』にリニューアル。一般的な海水浴場とは一線を画する、新たな「都市型リゾートパーク」として若者や家族連れに人気のスポットとなっている。そのビーチハウスで人気の店が『'OHANABATAKE』だ。

 ホットサンドやホットドッグをはじめ、カレーライスやラーメン、さらにはカクテルなどいずれも専門店顔負けのクオリティで提供しているが、オーナーが特に力を入れているのが鶏白湯ラーメン。良質な丸鶏と鶏ガラを強火で長時間炊き上げた鶏白湯は、濃厚でクリーミーな口あたりながらしつこさはまったくない。潮風に吹かれながら本格的なラーメンを楽しむことが出来る。

厳選ポイント:ビーチサイドとは思えない本格的な味わい

 ラーメンを食べ歩く楽しさは自分好みの一杯を見つけることにある。今回ご紹介したお店は私が個人的に印象に残ったお店なので、まずは気になったお店に足を運んで頂いて、そこから自分だけの一杯を見つける食べ歩きの旅に出て欲しい。

※写真は筆者の撮影によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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