三菱重工、英BAEシステムズ、伊レオナルドが次期戦闘機開発の協力協定で合意
三菱重工業と英航空・防衛大手のBAEシステムズ、イタリアの防衛大手レオナルドの3社は9月12日、次期戦闘機のコンセプト(概念)策定段階の要件を決めるための3社間協力協定に合意したと発表した。
この協力協定によって、3社は2035年の次期戦闘機配備に向け、現在協議が進められている次期戦闘機開発の長期的な役割分担や、次期戦闘機のコンセプトと能力要求の策定を進める。三菱重工業関係者は「コンセプト設計の検討が開始される」と話した。
三菱重工業は発表文で、3社による合意が「グローバル戦闘航空プログラムにおける次のフェーズに向けた、前進と強力な3国間の協力を反映したもの」と述べ、情報の共有を含むと説明した。
9月12日から15日まで英国・ロンドンで開かれている欧州最大の防衛装備品の展示会「DSEI 2023」で、日英伊が共同開発を進める次期戦闘機の模型が公開された。
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次期戦闘機の計画は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP=ジーキャップ)」と呼ばれる。日英伊3カ国政府が昨年12月に発表した。三菱重工業とBAEシステムズ、レオナルドの3社が機体の開発を進めている。エンジン部分は日本のIHIと英国の航空機エンジン製造大手ロールスロイスが中心で、イタリアで航空機エンジンを手がけるアビオも加わる。電子システムは、三菱電機とレオナルドUK、イタリアのレオナルドとエレットロニカの4社が担当する。欧州の軍事大手MBDAもミサイル開発で参画する。
防衛省は航空自衛隊のF2戦闘機の退役が見込まれる2035年度までの開発完了を目指している。現在保有するF2と同数の少なくとも約90機の導入を想定している。一方、英国も現行の戦闘機ユーロファイター・タイフーンの後継機として「テンペスト」の2035年までの配備を目指している。
●来年度予算で726億円を要求
防衛省は8月31日、過去最大の7兆7385億円に及ぶ2024年度防衛予算の概算要求を決定した。このうち、次期戦闘機開発の関連費用として726億円を予算要求した。内訳は①機体の基本設計やエンジンの詳細設計など「次期戦闘機の開発」に637億円、②次期戦闘機など有人機と連携する戦闘支援無人機を実現するために必要なAI技術の研究など「次期戦闘機と連携する無人機の研究等」に49億円、③日英伊共同開発を推進するために運営資金を拠出する「次期戦闘機の共同開発機関への拠出金」に40億円となっている。
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