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メーガン妃のNetflix新シリーズに早くも批判。「だからあなたは嫌われるのよ」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
新シリーズ「With Love, Meghan」の一場面

 メーガン妃が主演とプロデュースを兼任するNetflixの新シリーズの予告編が解禁になった。

「料理、ガーデニング、ホームパーティ、友情などをテーマにしたドキュメンタリー」ということだけ明かされていたそのシリーズのタイトルは、「With Love, Meghan」。2分弱の予告編には、メーガン妃と親しいことで知られるミンディ・カーリングやセレブリティシェフのロイ・チョイなども登場し、ホームガーデンから新鮮な食材を取ってきたり、手作りケーキをナイフでカットしたり、花を買ってフラワーアレンジメントをしたり、自らはちみつを採ったりする様子が出てくる。ナレーションで、メーガン妃は、「私は以前から普通のものを一歩上に引き上げて人々を驚かせるのが好きだった。そういった瞬間を通じて、あなたたちのことを思っていますと知らせるの」、「目指すのは、完璧ではなく、喜び」などと語りかける。

 配信開始は今月15日。だが、本編を見るのを待つまでもなく、このシリーズには早くも批判が寄せられている。中でも、メーガン・マケインは辛辣だ。

 2008年の大統領選挙をオバマと争った故ジョン・マケイン共和党上院議員の長女でTVパーソナリティのマケインは、X(旧ツイッター)に投稿したメッセージの冒頭で、かつてはメーガン妃のファンだったと告白。しかし、彼女が王室を侮辱し始めたせいで、「ほかのみんなと同じように私の意見は変わった」と述べる。

「彼女は、イギリスの貴族ではなく、またアメリカ人になりたいようね。だけど、アメリカ人は、リアルでそのままのものを求めているのだということを忘れてしまったようだわ。予告編とは言え、ここに出てくるものはすべてズレている」と、マケイン。

メーガン・マケインと、今は亡き父ジョン・マケイン
メーガン・マケインと、今は亡き父ジョン・マケイン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

「この2日間にテロリストの攻撃が2回もあったし、大きな戦争が起きている。アメリカ人は食品を買うお金がなくて困っている。今、この国は怒り、不確かさ、緊張感に満ちている。このコンセプトは、思慮に欠けたもの。私なら、(健康的な)食品が手に入りづらい低所得者が住むエリアに新鮮な食品を届けるシリーズを作るようアドバイスしたでしょう。エゴをひけらかすのではなく、人助けのために何かしなさいよ」と手厳しいマケインは、「だからあなたは世界から嫌われているの。あなたはまるでその瞬間の空気が読めない」という言葉でメッセージを締め括っている。

ソーシャルメディアにはさまざまなコメントが

 ソーシャルメディアを見るかぎり、一般人も優しくない。

 マケインの投稿に対しては、「私たちみんなが思っていることを言ってくれた。私たちは毎日必死で生き延びている。このシリーズはそんな私たちに平手打ちをしてくる。Netflixに月会費を払っていることに、納得できなくなってきた」、「普段あなたに同意することはないけれど、これに関してはその通り。メーガン妃はズレている。他人への思いやりがない。彼女にとって大事なのは自分だけ」など、同意する書き込みが多数。ただし、マケインも必ずしもみんなに愛されている人物ではなく、「そう言うあなたは低所得者の住むエリアに新鮮な食品を届ける番組をやったことがあるわけ?」などという反撃も見られる。

 このシリーズの撮影は、メーガン妃とハリー王子の自宅ではなく、同じカリフォルニア州モンテシートに住む別の人の家を借りていることから、「これは彼女の家でも、彼女のガーデンでも、彼女のキッチンでもない。この番組のすべてがフェイクだ。彼女が自分ではちみつを採っているとも思えない」、「あのフラワーアレンジメントは買ってきたみたいに見える」などというコメントも。「自分をひけらかす以外に何も見せるものがない人物のコマーシャルだね」、「誰が見るのか」、「プライバシーが欲しかったんじゃ?」という声もある一方で、少数派ながら「私は乳がんを克服したところ。周りを見渡しても学校での銃撃事件や、CEOへの攻撃などが起きている。彼女は、私たちが必要としている喜びをもたらしてくれる」と、メーガン妃をサポートするコメントもある。

「With Love, Meghan」にはL.A.の有名シェフ、ロイ・チョイも出演
「With Love, Meghan」にはL.A.の有名シェフ、ロイ・チョイも出演

 いずれにせよ、配信開始の2週間前に話題を提供しただけでも、メーガン妃とハリー王子が製作した最新作「POLO/ポロ」に比べれば良かったと言えるのではないか。ハリー王子が率いたこのドキュメンタリーシリーズは、先月10日にNetflixで配信開始となったが、一般視聴者はもちろんのこと、批評家にすらその存在すらほとんど知られないままひっそりとデビュー。その後、盛り返す気配もまるでない。

 2020年にNetflixと1億ドルの契約を交わしたこの夫妻は、これまでに「ハリー&メーガン」、「世界を導くリーダーたち:信念は世界を変えた!」、「ハート・オブ・インビクタスー負傷戦士と不屈の魂―」、「POLO/ポロ」の4本を製作してきたが、ヒットしたのはふたりが前面に出つつ、英国王室やメディアを批判した「ハリー&メーガン」のみだ。ただし「ハリー&メーガン」も、批評サイトRottentomatoesによれば、満足したのは批評家で45%、一般視聴者で19%と、なんともお粗末である。

キャリアの未来はこのシリーズにかかっている

 それでもアクセス数は稼げたのだから、メーガン妃がたっぷり登場し、予告編を見るかぎりハリー王子も出てくる「With Love, Meghan」には、夫妻も、Netflixも、期待をかけているだろう。このシリーズの配信開始に合わせて、メーガン妃は自分のブランド「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード」をデビューさせるつもりでいるようだし、この勝敗には大きなものがかかっている。Netflixとの契約は今年の末までなので、その後のハリウッドのキャリアを支えてくれるパートナー会社を確保するためにも、これはなんとしても当てなければならない。

 果たしてこのシリーズは、アクセス数でも批評面でも成功し、これまでの汚名を挽回するようなことをやってみせるのか。その成功に伴い、「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード」も人々に求められるブランドとなるのか。そうなれば、予告編だけで批判した人たちは、黙るしかない。

 その答は、もうすぐわかる。

場面写真:2024 Netflix, Inc.

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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