「そうめん」と「ひやむぎ」って何が違うの? 今さら聞けない麺の秘密
「そうめん」と「ひやむぎ」は本来製法が違う
暑い夏に食べたくなるのが「そうめん」。一説によれば南北朝時代に、元から禅僧によって持ち込まれたと言われており、その歴史は数百年以上にもなる。小麦粉に塩と水を混ぜて練る工程はうどんと変わらないが、その生地をよりながら伸ばして細くするのがそうめん(手延べそうめん)ならではの製法だ。
同じく夏の食べ物として知られる「ひやむぎ」は、一見そうめんと同じように見えるが、その歴史は異なる。ひやむぎは室町時代にうどんを細く切った「切り麦」の流れを汲んでおり、うどんなどを温かくして食べる「あつむぎ」に対して生まれたものだ。
生地を細く伸ばしたものが「そうめん」で、生地を細く切ったものが「ひやむぎ」ということになるが、機械切りのそうめんや手延べのひやむぎも存在するため、その製法で判断することは難しくなっている。
現在では麺の細さで判断しており、消費者庁の基準では乾麺の分類分け(機械製麺)として「そうめん/直径1.3mm未満」「ひやむぎ/直径1.3mm以上、1.7mm未満」と規定している。ちなみに1.7mm以上はうどんに分類される。
うどんとつけ麺の太麺に使われる材料は違う
太さで麺を判断するとなると、つけ麺の麺はどうなるのだろう。つけ麺の麺はうどんと同じ程度の太さであり、分類としてはうどんになるのかと言えばそうではない。つけ麺の麺はあくまでも「中華麺」であり、うどんやそうめんなどとは材料が異なる。
うどんやそうめんは小麦粉と水、塩で作られるのに対し、つけ麺やラーメンに使われる中華麺は小麦粉と水の他に「かん水」が入る。かん水とは炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどを配合したアルカリ性の物質で、これを入れることによって中華麺独特の風味や食感を生み出すと言われている。
麺によって使う小麦は異なる
ちなみにうどんとパスタの違いは使用する小麦の違いが大きい。うどんは一般的に「中間質小麦」が使われており、パスタには「デュラム小麦」が使われる。中間質小麦はたんぱく質の含有量が硬質小麦と軟質小麦の中間で中力粉になる。デュラム小麦は硬質小麦の一種で、柔軟で弾力性が強いグルテンを豊富に含みコシの強いパスタに向いている。
また中華麺の小麦は主に硬質小麦(強力粉)が用いられるが、昨今ではうどん用の中力粉やパスタ用のデュラムセモリナ粉などを使うラーメン店も増えている。またパスタの世界でも中華麺の製法を応用した「低加水パスタフレスカ」が注目を集めるなど、麺のボーダーレス化が進んでいる。
食の世界は知れば知るほど奥深く、その美味しさは増していくものだ。もっと食について知って、もっと美味しく食事を楽しんで欲しい。
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