生ごみ処理機を800回使って得られたこととは?200kgのごみが減るだけじゃない
2017年に家庭用生ごみ処理機を購入した。きっかけは、埼玉県川口市の廃棄物対策審議会の委員に選ばれたことと、川口市のクリーン推進員800名へ、ごみに関する講演を頼まれたこと。自分でやっていないことを話しても説得力がないし、廃棄物を減らす委員なのに何もやらないというのでは責任感が伴わない。
最初は川口市の助成金制度を使い、半額で購入した。その後、バージョンアップした機種に変更した上で使い続け、今では800回を超えた。
毎回、処理機にかける前と後の重量を量っている。
800回使い続けた結果、生ごみは、合計で200kg近く(195kg)減った。
棒グラフのうち、オレンジ色の部分が減った重量にあたる。601回以降で減少率がアップしているのは、家庭用生ごみ処理機の機種をバージョンアップしたものに変えたことと、ストッキング状の袋に入れていた生ごみを、そこから出して処理機にかけることで、より乾燥しやすくなったことが挙げられる。
生ごみの重量のうち、水分が80%といわれる。800回の平均減少率は63%程度だが、701回から800回の平均を見てみると、ほぼ80%に近づいてきており(77.7%)、重量を、より多く減らせるようになっていることがわかる。
全国の自治体のうち、およそ60%で、家庭用生ごみ処理機の購入に対し、市民に助成金制度を提示している。人気があり、募集を締め切っている自治体もあれば、利用率が低い自治体もあるようだ。日本全体のごみ処理費は2兆円を超えている(2020年3月末、環境省発表)。全国の自治体の廃棄物担当部署の方々には、今以上に積極的に、家庭用生ごみ処理機の助成制度に関し、告知・啓発に努めていただきたい。
200kg近くのごみが減るだけじゃないメリット
800回使い続けてきて、単にごみが減るだけではないメリットを感じている。
一滴の営みが水たまりになり、ささやかな自信が持てる
800回の測定値を見てみると、一回に減らせる量の平均は、たった243gに過ぎない。だが、それを続けた結果、195kgにもなった。50kgの体重の人が4人分である。『ハチドリのひとしずく』(監修:辻信一、光文社)という本に、森が火事になり、ハチドリが一滴ずつしずくを運び、まわりの動物から「そんなことをしていったい何になるんだ」と笑われる物語が書いてある。確かに、ハチドリのひとしずくは、他人から見たら、鼻で笑われる程度のものかもしれない。でも、ハチドリはこう答える。
I'm only doing what I can do. (わたしは、わたしにできることをしているだけ)
だんだん改善されていく喜び
生ごみ処理機を使う過程で、乾燥させた生ごみを、当初は燃やすごみに混ぜて捨てていた。でも途中から、マンションのベランダでコンポスト(堆肥)づくりを始めて、そこに入れるようになった。
野菜のかたい部分や玉ねぎの皮は、冷凍庫の袋にためておいて、ある程度たまったら、ベジブロス(洋風の野菜だし)として煮込んで使い、しぼりかすは乾燥させてコンポストに入れるようになった。
減らしたごみは「195kg」と言ったが、実は、200kg以上、減らしていることになる。
創意工夫や意識が高まり、だんだん改善されていく。それを実感できるのはうれしい。
廃棄や無駄を減らす姿勢が他のことにも波及する
こうやって減らしていくと、それが他のことにも波及する。食べ物の無駄を減らすだけじゃなくて、衣類や本なども、家におさまる量におさめようとするようになり、暮らし全体の無駄が減る。
測る、見える化する大切さ
ただ漫然と使うだけでなく、毎回、数字にすることで、目に見える結果になる。もちろん、大学の研究室ではないので、論文にはならないが、日々の生活が変わっていく。
気持ちがすがすがしい
ごみを減らすことのよさは、気持ちがすがすがしいということ。
ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)活動に励んでいる方たちの多くは、気持ちがいいからやっているのだと思う。そうでなければ続かない。
ごみに見えるものが実は資源であると気づく
欧州取材で、食品ごみや剪定した木の枝や落ち葉を「Organic(オーガニック)」として回収し、資源化しているのを目の当たりにした。
ごみのように見えるものを「ごみ」にしてしまっているのは人間であり、ごみのように見えるものは、実は、資源なのだ。
「生ごみ」じゃなくて「食品ごみ」、でも元をたどれば「食品」
消費者の家庭から出る生ごみは、英語だと「Food waste」などと訳される。Food(食べ物)という語句が入っているのに、日本語の「生ごみ」は、なんとなく、使いようがない、捨てるしかない、臭い、液だれする、といった、ネガティブな印象を受ける。
本当は、言葉を変えると、また印象も違ってくるのかもしれない。
先日、講演に呼んでいただいた福井県の池田町は、生ごみを回収して牛のふんと混ぜ、堆肥にしていた。その名も「土魂壌(どこんじょう)」。
日本の中にも、生ごみだけ別回収して資源化している自治体はあるが、100に満たない。
日本じゅうの生ごみが資源化したら、世界は変わるだろうなと想像する。
まずは、自分の、ささやかなことから。
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