「政府目標を8年前倒しで目標達成」の食品ロス、本当に減ったと言えるのか? #専門家のまとめ
2022年度の食品ロス推計値が農林水産省・環境省により発表された。農林水産省は「令和4年度の事業系食品ロス量が削減目標を達成!」と公式サイトに載せている。読売新聞は、政府が新たな推計値を発表する3日前の2024年6月18日、「政府目標を8年前倒しで達成していた」と報じた。
家庭系にはまだ課題が残されているというものの、事業系食品ロスに関しては、もう目標達成して十分に削減できたといえるのだろうか。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
日本は食品ロスの発生により、年間4兆円相当の金額損失を出している。
また、公正取引委員会の調査によれば、大手コンビニエンスストアでは1店舗年間468万円(中央値)相当の食品を廃棄している。国内のコンビニ店舗数は55,000を超えている。この状況で、はたして「8年前倒しで食品ロス削減目標達成!」と喜べるか疑問である。
最新の食品ロス推計値は、コロナで外食産業が落ち込んだ影響がゼロではない。2019年と比べて2022年には外食産業の食品ロスが42%と大幅に減少している。
日本の「2030年までに半減」目標は、食品ロスが年間980万トンと、今より非常に多かった2000年を基準年においている。
デンマークで取材した際「それで効果あるの?」と言われた。欧州はSDGsが採択された2015年を基準年に置く国も複数ある。英国は2000年に政府がWRAPという専門機関を立ち上げロス削減に取り組み続けているが、英国ですら2007年を基準に置いている。欧州やSDGsの目標設定はバックキャスティングだが、日本の目標の立て方はフォーキャスティング。
結論として、4兆円の食品ロスは、まだ減らす余地があるといえるだろう。