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最大3万円がもらえるチャンス!400回使ってみたら自分の体重2人分も軽くなったモノとは?

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(ペイレスイメージズ/アフロ)

上限2〜3万円がもらえる制度が全国の自治体の約60%に設置

全国の自治体の、およそ60%が、一般市民向けに助成金制度を設けているのをご存知だろうか。上限金額は自治体によって違うが、多いところだと3万円という自治体もある。

それは、家庭用生ごみ乾燥機やコンポスト(堆肥を作る容器)を購入するための助成金制度だ。

「えー、ごみなんて捨てればいいから興味ない」という人も多いと思う。筆者も、ごみ問題には、まったく関心がなかった。

だが、2017年7月、川口市の「クリーン推進員」800名向けに講演することになった。同じ月に、埼玉県川口市の廃棄物対策審議会委員に任命された。なったからには自分自身で実践しないと説得力がない、と思い、川口市の生ごみ処理容器購入のための助成制度を調べ、購入して申請した。

川口市の場合、申請して認可された場合、市内で購入したものには上限24,000円、市外で購入したら20,000円の支援金額を受けることができる。

こうして、家庭用生ごみ減量乾燥機を、半額で購入することができた。

筆者が講演した平成29年川口市クリーン推進員感謝状贈呈式及び委嘱式交付式 (川口市主催、於:川口総合文化センターリリア音楽ホール)(筆者撮影)
筆者が講演した平成29年川口市クリーン推進員感謝状贈呈式及び委嘱式交付式 (川口市主催、於:川口総合文化センターリリア音楽ホール)(筆者撮影)

乾燥前後で重量を測ったら400回で107kgも減量!

家庭用生ごみ減量乾燥機は、使い方も簡単。入れてスイッチを押すだけ。

乾燥前と後とで、毎回、生ごみの重量を測定した。

その結果、400回で、107kgものごみ重量を減らすことができた。

家庭用生ごみ減量乾燥機を400回使い、乾燥前(青)と乾燥後(赤)に重量を測定した。その差は合計107kgに及んだ(筆者測定・作成)
家庭用生ごみ減量乾燥機を400回使い、乾燥前(青)と乾燥後(赤)に重量を測定した。その差は合計107kgに及んだ(筆者測定・作成)

筆者は、2007年から、ほぼ毎朝、体重や体年齢などをタニタの体組成計で測定している。

ちなみに2019年5月10日の測定値は、体重が52.8kg、体脂肪が23.3%、体年齢が27歳(きっとこれは体組成計が忖度していると思う)。

ということは、400回、家庭用生ごみ減量乾燥機を使った結果、自分の体重の2倍もの重さを減らすことができたことになる。

生ごみの水分量は食品によって異なるが、平均して、およそ80%に及ぶ。この水分を乾燥させれば、ごみ重量は大幅に減る。

家庭用生ごみ乾燥減量機(パリパリキューブ)で乾燥させた食べ物ごみ(筆者撮影)
家庭用生ごみ乾燥減量機(パリパリキューブ)で乾燥させた食べ物ごみ(筆者撮影)

生ごみのうち40%近くが食べ残し これを減らせばごみ重量は劇的に減る

家庭ごみのうち、生ごみが、およそ40%を占める。

ごみのうちおよそ40%が生ごみ。京都市が制作した「減らして得する!ごみ減量入門書」の5ページより(京都市HP)
ごみのうちおよそ40%が生ごみ。京都市が制作した「減らして得する!ごみ減量入門書」の5ページより(京都市HP)

そして、生ごみのうち、40%近くが食べ残し、いわゆる食品ロスを含めた食品ごみだ(平成19年度、京都市家庭ごみ組成調査結果より)。

これを減らすことで、ごみは、格段に減らすことができる。

生ごみの40%近くが食べ残し(平成19年度 京都市家庭ごみ組成調査、京都市HP)
生ごみの40%近くが食べ残し(平成19年度 京都市家庭ごみ組成調査、京都市HP)

だからこそ、全国の都道府県(庁)や市区町村のごみ(廃棄物)の部署は、食品ロスを減らそうと懸命になっている。筆者に講演を依頼してくださる全国の自治体も、ほとんどが、廃棄物の部署だ。

自治体は、決められた財源で、ごみ処理だけでなく、福祉や教育、交通安全対策など、さまざまな用途へやりくりしなければならない。

だから、家庭ごみを減らすための家庭用生ごみ乾燥機や、コンポストなど、支援金制度を用意してでも減らしたいのだ。

埼玉県熊谷市は、上限30,000円の支援金を準備している。

お金の補助だけでなく、生ごみのにおいやコバエがなくなり、ごみ出し回数が減った

家庭用生ごみ乾燥機を使うメリットは、生ごみのにおいやコバエがなくなることだ。

どこの家庭でも、ごみ出しは、面倒な家事の一つだろう。

そのごみ出しが、家庭用生ごみ乾燥機を使うことで、回数が減る。

もちろん、乾燥機を使わずとも、ベランダや庭、畑がある人は、コンポストを使って堆肥(植物の肥料)を作るのもいいと思う。

肝心なのは、食品ロスを含めた食品ごみや、生ごみを、いかに最小限に減らすかということだ。その手段は、自分に合ったものでいい。

減らしていくと、気持ちもすがすがしくなる。

食べ物の無駄を減らそうという意識も高まる。

ひいては、家計も助かる。

この機会を、一人でも多くの方に活かして欲しい。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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