第8回食品ロス削減全国大会 in 群馬、2024年10月30日「食品ロス削減の日」に開催(Gメッセ)
2024年10月30日、日本政府が定めた「食品ロス削減の日」に、第8回となる食品ロス削減全国大会 in 群馬が、群馬県高崎市のGメッセで開催された(1)。
今回の大会テーマのサブタイトルは
食品ロス「ゼロ」〜「MOTTAINAI」の意識から〜
だった。
筆者も
食品ロス「ゼロ」を実現するには
と題して基調講演をおこなった。
政府が初めて食品ロスの損失金額「4兆円」と発表
筆者はこれまで食品ロスを「重さ(トン)」だけでなく、「金額(円)」でも示してほしいと政府にお願いしてきた。たとえばあるスーパーでは、食品の平均売価は1g1円。これに日本の食品ロス量472万トンを掛け算すると、4兆7,200億円になる。取材を受けた際にもそのように説明してきた(2)。
今年初めて、政府が食品ロスによる損失金額を発表した。年間4兆円(3)。国民一人あたりでは32,125円/人という結果になっている(4)。
もし、このお金があれば、雇用や教育、福祉や医療に充当できたはずだ。
地球温暖化どころか「地球沸騰化」
食品ロスは、経済損失や、社会のさまざまなチャンスを奪うだけではない。
環境への多大な負荷をかける。
日本では、食品ロスは、多くの自治体が燃やして処分しており、二酸化炭素を排出している。世界のほかの国では、埋め立てて、二酸化炭素よりも温室効果の高いメタンガスを排出している。
世界の食品ロスは、国にたとえれば、温室効果ガス排出1位の中国、2位の米国に次いで、3位の温室効果ガス排出源となっている。
気候変動の問題は食品ロスと密接に関連している
世界の食料システムが排出する温室効果ガスは、全体の30%以上に及ぶ。
その結果、食や農業、食品ロスは、気候変動の一因となっている。
多くの人は、「食品ロス」は「気候変動」とは関係ないと誤解している。
しかし、国連のグティエレス氏により、地球温暖化どころか「地球沸騰」時代が来ている(5)。
今月2024年10月10日付の日本経済新聞では、2024年の世界平均気温がこれまで最も暑かった23年の14.98度を上回り、過去最高になる見通しだとするEUの気象機関の発表を報じた(6)。
2025年の第9回食品ロス削減全国大会は東京都千代田区で開催
今回の大会では、最後に、崎田裕子氏が、2025年の第9回大会は東京都千代田区で開催されることを発表した。
これまでの第7回までの開催概要については、筆者が2023年10月30日に書いた記事(7)を参考にしていただきたい。
今回、食品関連企業として参加していた方に伺ったところ、令和6年度の食品ロス削減推進表彰(8)を受けた企業の方々が、賞状を受け取ってすぐ、知事の挨拶の途中で帰ってしまったと話していた。表彰式は筆者の講演の前の時間帯(13:00-13:45)だったので、筆者は控室で講演の練習をしていた。会場へ行ってみたところ、受賞者の方々は、フードバンクの方を除いてほとんど座席にいらっしゃらなかった。
食品関連企業の方にとって、食品ロスを削減することは、自社のコスト削減でもあり、環境対策でもある。目の前のお仕事も忙しいとは思うが、今後、食品ロス削減推進表彰を受ける組織の方には、年に一回のせっかくの学びの機会にできるだけ出席していただけることを願っている。
参考情報
1)食品ロス削減全国大会 in 群馬を開催します!(ECOぐんま、2024/10/25)
2)「食品ロス大国」から日本は脱却できるのか5兆円超分の食料が捨てられている日本の実態(三菱総合研究所、東洋経済オンライン、2022/9/26)
3)【速報】政府、最新の食品ロス推計値(2022年度)公表、食品ロスによる経済損失は4兆円(井出留美、ニュースレター「パル通信」、2024/6/21)
4)令和6年度 食品ロスによる 経済損失及び温室効果ガス 排出量に関する調査業務 調査報告書(概要版) 消費者庁請負事業 令和6年8月(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
5)1からわかる!気候変動(2)“地球沸騰の時代 ”とは?どんな影響が?(NHK、大学生とつくる就活応援ニュースゼミ、2023/12/6)
6)今年の世界気温、最高にEU気象機関、昨年上回る見通し(日本経済新聞、2024/10/10)
7)【速報】第7回食品ロス削減全国大会 in 金沢、2023年10月30日開催 第1〜6回大会を振り返り(Yahoo!ニュースエキスパート井出留美、2023/10/30)