生ごみ入れてスイッチポン!300回乾燥させたら83kgも減った!においもなくなる 家庭用生ごみ乾燥機
日々生活している限り、ごみはどうしても発生する。全国の自治体では、いかにごみを減らすかに苦慮している。家庭ごみのうち、約4割が生ごみだといわれる。
京都市の事例を見れば、ごみをゼロにはできなくても、半分には減らせるのだと思う。京都市は、2000年度に年間81.5万トンあったごみを、2017年度には41.3万トンまで減らすことができている。ごみ半減プランに取り組む京都市では、2000年のピーク時に5工場あったクリーンセンターを3つまで減らし、年間で106億円もの大幅なコストダウンを実現した、ごみ削減の先進自治体だ(平成27年3月、新・京都市ごみ半減プラン 京都市循環型社会推進基本計画 2015-2020による)。
ごみの中には食品ロス(フードロス)も含まれている。京都市は、食品ロスの削減にも積極的に取り組んでいる。ピーク時から半減させるという数値目標を全国で初めて設定した。平成32年度までに食品ロスを5万トンまで減らす目標を立てている。
自治体のごみ処理費用を減らせば、財源にそれだけゆとりができる。自治体の財源は限られている。ごみを減らせば、その財源を、福祉や教育など、ほかの分野に活用することができる。市民にとっても、ごみを減らすことで、恩恵を受けることが可能となる。一人ひとりの問題だ。
生ごみを入れてスイッチポン!とっても簡単、家庭用生ごみ乾燥機
とはいえ、筆者も、ごみには関心がなかったが、2017年7月、埼玉県川口市主催の「平成29年 川口市クリーン推進員 感謝状贈呈式及び委嘱式交付式」(於:川口総合文化センターリリア音楽ホール)で800名の方に講演することになった。同じ月に、川口市の廃棄物対策審議委員にも任命された。なったからには、自分でも実践しないと説得力がない、と思ったのが、生ごみを減らすきっかけだ。
川口市の電気店にいくつか問い合わせてみたが、生ごみ乾燥機で自分の欲しいものがなかったため、香川県の島産業が作っている家庭用の生ごみ減量乾燥機、パリパリキューブを、インターネットを通して購入した。川口市には助成金制度があるので、審査を受けて認可され、半額で購入することができた。
2017年6月16日から2018年12月5日まで、300回、使ってみた。使い方は簡単。生ゴミを入れて、スイッチを押すだけ。
乾かす前と後とで重量を測定した。
300回の平均減少率は57.4%。300回で減少したごみ量は、83.7kgにもおよぶ。成人男性一人分の体重か、それよりも重い。
最初のうちは、そんなに気乗りしなかったが、やっていくうちに、においもなくなるし、コバエの発生も減るので、だんだんハマっていった。ごみを減らしている行動自体、すがすがしい気持ちになれる。捨てているのは生ごみなのだが、食べ残しもここに入れるので、食品ロス(フードロス)も、出さないよう、気をつけるようになってくる。
電気代は、500gのごみを乾かすのに約18円、700gで約27円。筆者の場合で計算すると、1回あたり9円から14円程度。毎日かけなければ、1日当たりの電気代はもっと安くなる。
乾燥機を買わなくても、水切り、乾燥で生ごみ重量は今より減らせる
「他のことにお金が要るから、ごみのためにお金なんてかけられない」という人もいるだろう。京都市では「水キリ(水切り)」を勧めている。水を切るだけで、今より、生ごみの重量は減らすことができる。天気がいい時には外で乾かすこともできる。
コンポスト容器で堆肥化も
場所が許すのなら、コンポスト容器を使って堆肥化するのもよい。東京都板橋区は、コンポスト容器を使って堆肥化する方法を公式サイトに載せている。
神奈川県では、葉山町から始まった「キエーロ」というコンポスト容器が販売されている。葉山町在住の松本信夫氏が考案したそうだ。土の中の微生物が生ごみを分解する。
コンポストというと、マンションやアパートなど、集合住宅で暮らしている人は、あきらめてしまいがちだ。だが、これは、土にじかに置くタイプの他に、「ベランダ型」もある。
神奈川県内の自治体の公式サイトでは、「キエーロ」が紹介されている。
たとえば、「キエーロ」発祥の地である神奈川県葉山町や、神奈川県鎌倉市、神奈川県逗子市、神奈川県藤沢市、神奈川県座間市、神奈川県厚木市、神奈川県秦野市、神奈川県寒川町、神奈川県愛川町など。
横須賀市で開催された第5回三浦半島サミットの資料にも詳しく掲載されている。
埼玉県では、「キエーロ」の実証実験が行われている。
京都市が制作した「減らして得する!ごみ減量入門書」はわかりやすく便利!
京都市が制作している「減らして得する!ごみ減量入門書」は、わかりやすく、とても便利だ。ただ「ごみを減らしなさい」と強要するのではなく、なぜごみを減らす必要があるのか、ごみを減らすことで、市民にとってどのような得があるのかについてもきちんと説明されている。
全国の自治体ごとに、それぞれ、家庭でごみを減らすためのリーフレットや資料などを制作されていると思う。まだそこまでしていないという自治体や、ごみを減らすための活動をしている団体の方は、京都市の「減らして得する!ごみ減量入門書」を、ぜひお手本にしてほしい。