「8割減の夫年上婚」年齢別初婚の夫は何歳の年の差の妻と結婚しているか?
婚姻減とは夫年上婚の減少
少子化とは、子どもが産まれないことではなく、子どもが産まれる環境が整わないこと=婚姻の減少による結果に過ぎないことは、私はかれこれ10年近く前から言い続けていることであるが、最近はようやくその認識が広まってきたようで、正確な事実認識が進んだという点では一歩前進である(とはいえ、もはや遅きに失したが)。
その婚姻減が何によって引き起こされているかといえば、現象面からいえば「夫年上婚」の減少に尽きる。婚姻減は、ほぼ夫年上婚の減少と一致するからだ。
初婚同士夫婦の年齢差の長期推移を見ればそれは明らかである。
実数として減っているのは「夫年上婚」だけであり、「同い年婚」と「妻年上婚」は、第二次ベビーブーム期の1970年から50年間を通じて大した変化はない。
1970年と直近の2022年とを比べれば、「夫年上婚」はマイナス48.5万組、78%減である。いくら「同い年婚」や「妻年上婚」が減っていないからといっても、8割減をカバーできるものではない。
なぜ、これほどまでに「夫年上婚」が減ったかといえば、それはかつての皆婚を実現させていた「結婚の社会的お膳立てシステム」、つまり、お見合いや職場結婚の比率が減少したからに他ならない。
「婚姻減=夫年上婚の減少」であるのだが、同時に「婚姻減=お見合い+職場結婚の減少」と完全一致するからである。
参照→日本の結婚は30年前にはすでに詰んでいた。失われた社会的システム
夫の年齢別妻の平均年齢
芸能界では定期的に年の差婚のニュースが出るので勘違いしそうになるが、一般人の結婚において年の差婚は減っている。人口動態調査でも、平均初婚年齢の男女年齢差は2022年で1.4歳(夫が年上)である。
そもそも、各年齢別に初婚相手の平均年齢は何歳だろうか?
男性の年齢ベースに、2022年初婚夫婦の各才の組み合わせをひとつひとつ集計して妻の平均年齢を算出したものが以下である。男女とも49歳までを対象とした(17歳からとなっているのは、本データが婚姻届提出年齢ではなく、同居しはじめた年齢換算だからである)。
独身の男性で「結婚したい」と思っている方は、ぜひご自分の年齢に対応する相手の平均年齢を参考にしていただきたい。
当然だが、夫の年齢があがればあがるほど妻の年齢も比例してあがっている。
たとえば、夫の平均初婚年齢に当たる31歳の場合で、妻の平均年齢は29.5歳である。40歳の男性の場合、相手の平均年齢は36.4歳となる。「40歳過ぎて20代の女性と結婚したい」というのがいかに無謀なことかがわかるだろう。
参照→「40歳になってから本気出すでは手遅れ」40歳以上の中年未婚男性の初婚達成率は?
初婚夫婦の年齢別年の差
この平均年齢を夫婦の年齢差として示したのが以下のグラフである。
興味深いことに、夫年齢が26歳までは、妻の年齢の方が上回る「妻年上婚」となっていることである。若くして初婚する男性は年上の「姉さん女房」と一緒になる傾向があるらしい(とはいえ、1歳程度の差なので、実際は同い年の可能性もあるが)。
一方で、30歳を超えると年の差は少しずつ開いていき、男性生涯未婚年齢ギリギリで初婚を果たした49歳男性の場合、その妻は平均でマイナス7歳年下になる。但し、49歳まで待てば、年の差妻と結婚できるということを意味しない。
同い年婚だろうが、どちらかが年上婚であろうが、所詮は当人同士で合意したことなら他人がとやかく言う話ではない。但し、婚活をするのであれば、統計上はこういうマッチング状況になっていることはふまえていた方がよいだろう。
自由を得た結果の皮肉
とはいえ、婚姻減を止めるために、「同い年婚」や「妻年上婚」を増やしていけばいいという方向性はない。50年間も数が変わっていないことは事実だが、逆にいえば、それがこれらの形態の限界値であり、これ以上増える可能性があるかどうかは疑問である。
そもそも、同い年ということは、未婚の場合、男女ともほぼ年収も一緒である可能性が高い。未婚女性が自分と同程度しか稼げていない相手と結婚しようと思うかどうかというと難しい。女性は自分より稼いでいる男性を選好するという「女性の経済力上方婚志向」があるからである。
これは結婚という経済生活を営んでいく上では当たり前の発想だろう。
同い年で自分より稼いでいる相手を見つけるとなると、それは絶対数的に全員とマッチングする数には足りない。年齢を重ねたところでそれは変わらない。
結局、「自分より経済力がない男と無理に結婚するくらいなら独身のままでいいや」となりがちだ。
冒頭に書いた通り、婚姻減は「夫年上婚」の減少であり、それは「結婚のお膳立てシステム」の減少とも完全一致するわけだが、自由に結婚相手を選べるようになればなるほど、皮肉にも「結婚しなくてもいい選択をする」自由が増えることにもなるのである。
まさに、個別の最適化は必ずしも全体の最適化とはならない。
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