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2024年版防衛白書、12式地対艦誘導弾能力向上型の最新写真を掲載

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
今年度防衛白書に掲載された12式地対艦誘導弾能力向上型試作品の最新写真(防衛省)

防衛省は7月12日に公表した2024年版防衛白書の中で、現在開発中の12式地対艦誘導弾(ミサイル)能力向上型の試作品の最新写真を掲載した。

写真のキャプションには、「地上での様々な試験に耐えた12式地対艦誘導弾能力向上型(試作品)【三菱重工業(株)提供】」と書かれている。

最新写真は次のようになっている。

2024年度防衛白書に掲載された12式地対艦誘導弾能力向上型試作品の最新写真(防衛省)
2024年度防衛白書に掲載された12式地対艦誘導弾能力向上型試作品の最新写真(防衛省)

これに対し、2022年版防衛白書に掲載された12式地対艦誘導弾能力向上型の風洞実験模型は次のようなものだった。

2022年度防衛白書に掲載された12式地対艦誘導弾能力向上型の風洞実験模型の写真(防衛省)
2022年度防衛白書に掲載された12式地対艦誘導弾能力向上型の風洞実験模型の写真(防衛省)

新旧の2つの写真を比べると、ミサイル全体の形状や空気取り入れ口が機体下側に設置されている点では類似している。ただ、今年版の防衛白書掲載の写真では、ミサイル胴体に後退角の付いた主翼がより上向きになっていたり、X字型に配置された尾翼がよりはっきり写っていたりする。

今年版の防衛白書は「島嶼部を含むわが国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊などに対し、対空ミサイルなどの脅威圏の外から対処するスタンド・オフ防衛能力を抜本的に強化」「十分な能力を速やかに確保するため、12式地対艦誘導弾能力向上型(地上発射型)の配備と、米国製トマホークの取得を、1年前倒して2025年度から実施」と記述されている。

日本のスタンド・オフミサイル能力は、反撃能力の中核をなす12式地対艦誘導弾能力向上型が中心となる。中国の軍備拡張が続くことを念頭に、日本政府は能力強化を急いでいる。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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