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2024年版防衛白書、海自イージス・システム搭載艦の最新イメージ図を掲載

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
今年度防衛白書に掲載されたイージス・システム搭載艦の最新のイメージ図(防衛省)

防衛省は7月12日に公表した2024年版防衛白書の中に、海上自衛隊向けに新造するイージス・システム搭載艦の最新のイメージ図を掲載した。艦の形状や主な兵装はこれまでに公開されてきた同艦のイメージ図と同様に、海自最新のイージス艦まや型とよく似ているが、最新のイメージ図では細部が微妙に変わっている。

2023年12月の今年度防衛予算案の公表時に示された同艦のイメージ図は、次のようなものだった。

2023年12月の今年度防衛予算案の公表時に示されたイージス・システム搭載艦のイメージ図(防衛省資料)
2023年12月の今年度防衛予算案の公表時に示されたイージス・システム搭載艦のイメージ図(防衛省資料)

これに対し、今年の防衛白書に掲載された最新イメージ図は次のようなものだ。

2024年度防衛白書に掲載されたイージス・システム搭載艦の最新のイメージ図(防衛省)
2024年度防衛白書に掲載されたイージス・システム搭載艦の最新のイメージ図(防衛省)

艦橋や第1、第2煙突部分を中心に艦全体を細部にわたってより具体的に描き直したとみられる。イージス・システム搭載艦の形状や主な兵装については、2023年7月28日付のYahooニュースへの拙稿「今年の防衛白書、イージス・システム搭載艦の新たなイメージ図を明らかに」をお読みいただきたい。今回のこの拙稿では、海軍専門家が最新のイメージ図を見て、「おや、これは?」と思ったり、気付いたりした点があるかどうかを聞いてみた。

●最新イメージ図は「詳細設計が進んでいる証拠」

世界の艦船に詳しい専門家(匿名希望)は、最新イメージ図を「詳細設計が進んでいる証拠」と指摘した。

そして、「艦橋構造物の造形は、まや型を踏襲しつつも、窓の形状はFFM(もがみ型護衛艦)のような横長で視認性の向上を意識しつつ、省人化による少人数の艦橋配置員にも対応した設計と感じた。併せてFFMに搭載されているOAX-3光学複合センサーと同様の装備を搭載し、全周見張り、警戒等の向上も考慮されているのか気になる」と述べた。

また、「第1煙突外周部の張り出しに空中線等が集約装備されているように見えるが、主機の排煙による熱対策や電波干渉の影響は大丈夫なのかなと感じた。初めて見る艤装方式で興味深い」と語った。

さらに「第1煙突と第2煙突の構造物も気になる。従来艦だとSSM(艦対艦ミサイル)が装備される。併せて甲板作業等の通路になる部分に構造物が置かれているのは将来余裕を持たせ、長距離ミサイル等の増設に対応しているのかもしれない」と指摘した。

●「もがみ型のようにステルス性を向上させるだろう」

別の海自関係者(匿名希望)は、イージス・システム搭載艦はまだ設計段階にあり、設計次第で今後も細部は変更されると予想した。

「将来的には、もがみ型護衛艦のように、船体側面にハッチを増やして武器装備を隠し、ステルス性能を向上させることになるだろう」と述べた。

さらに、この関係者は最新イメージ図の説明欄に書かれている「2032年以降に搭載を予定する装備品(拡張性)が気になる」と指摘した。それぞれの装備品の計画は次のようになっている。

・12式SSM能力向上型誘導弾(艦発型、射程1000キロ超)→2027年配備開始
・トマホーク ブロック4(旧型)→2025年から前倒しで配備
       ブロック5(最新型)→2026年から配備
・高出力レーザー 国産なのか輸入なのか未定

防衛省はイージス・システム搭載艦の1隻目は2027年度に、2隻目は2028年度の就役を見込む。2032年以降にイージス・システム搭載艦への搭載とされている12式SSM能力向上型誘導弾(艦発型)、トマホーク、高出力レーザーのイージス・システム搭載艦への計画はもう少し前倒しができないものだろうか。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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