高血圧をほったらかすと足の切断につながるかも!【高血圧のいろはを理学療法士が解説します】
血圧が高いとなんとなく健康上良くないということは理解できても、どんな影響があるのかははっきりとわからないという方も多いのではないでしょうか。
高血圧が引き起こす健康上のリスクをひとつずつ解説していきます。
高血圧が原因で起こりうる主な病気
高血圧になると、以下のような病気のリスクが高くなるといわれています。
本記事では、高血圧が引き起こす足の病気に着目していきましょう。
高血圧がリスクとなる閉塞性動脈硬化症
手や足の動脈の通り道が狭くなったり(狭窄)・詰まったり(閉塞)して、栄養や酸素を巡らせることができなくなる状態を閉塞性動脈硬化症といいます。
早速ですがセルフチェック
- 喫煙者
- 糖尿病
- 高脂血症
- 高血圧
- 心筋梗塞を起こしたことがある
- 脳卒中を起こしたことがある
- 家族に心筋梗塞や脳卒中を起こした人がいる
- 閉経した
- 透析を受けている
- 65歳以上
- 肥満
1つでも当てはまるものがあれば閉塞性動脈硬化症につながるリスクがあります。
閉塞性動脈硬化症の原因
閉塞性動脈硬化症の原因である動脈硬化は、コレステロールなどの成分が動脈の内部に付着したり、高血圧や喫煙などで常に血管に負担がかかってしまうことで引き起こされます。
閉塞性動脈硬化症の症状
狭窄・閉塞の程度により、4段階に分けられます。
I度 冷感・しびれ感
冷感やしびれを感じます。
II度 間欠性跛行(かんけつせいはこう)
一定の距離を歩くと痛みが強くなって歩けなくなるが、休憩すると再び歩けるようになる症状です。狭窄や閉塞が悪化してくると、歩ける距離が徐々に短くなります。
III度 安静時痛
歩いたり動いたりせずに静かにしていても痛みが続く状態です。とくに夜間に痛むことが多いです。
IV度 潰瘍・壊死
血管の狭窄・閉塞が深刻な状況となり、皮膚や筋肉に血液が行き渡らなくなると、小さな傷や低温やけどなどをきっかけに、皮膚に潰瘍や壊死を起こし、細菌感染を伴って治らなくなります。
最悪の場合は病変部が腐ってしまい(壊疽)、切断を選択しなければならないこともあります。
閉塞性動脈硬化症は進行すればするほど、症状も深刻化するため、早期発見・迅速な治療が重要です。
閉塞性動脈硬化症の治療
ポイントは、狭くなり詰まりかけた血管の状態を改善し血液の流れを良くすることです。
保存療法と血行再建(手術)の2つの方法があります。
保存療法
主に薬物療法や運動療法を行う治療で、症状分類でⅠ~Ⅱ度の場合に選択されることが多いです。
手術療法
保存療法では改善しない場合、あるいは重症化(Ⅲ~Ⅳ度)している場合に選択されます。
重症化した場合は切断の可能性もありますが、最近では血管内治療を行うケースが増えています。
血管内治療 経皮的血管形成術(下肢PTA)
動脈にカテーテルを挿入し、狭くなった血管を拡張する治療法です。
カテーテルの先につけた風船を膨らませて血管を拡げるバルーン療法、再び血管が狭くなるのを防ぐため拡げた部位にステント(金属製の編み状の枠)を留置するステント療法などがあります。
まとめ
切断=糖尿病と考えている方も多い中で、高血圧も切断につながるというのは新たな発見だったかもしれません。
高血圧に伴う動脈硬化はたくさんの病気の引き金となります。
まずは日頃から血圧管理に気を配り、生活習慣を整えていきましょう。