高血圧を放置すると目の病気にもつながります【高血圧のいろはを理学療法士が解説します】
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
血圧が高いとなんとなく健康上良くないということは理解できても、どんな影響があるのかははっきりとわからないという方も多いのではないでしょうか。
高血圧が引き起こす健康上のリスクをひとつずつ解説していきます。
高血圧が原因で起こりうる主な病気
高血圧になると、以下のような病気のリスクが高くなるといわれています。
・脳の病気
・目の病気
・胸部・腹部の病気
・足の病気
本記事では、高血圧が引き起こす目の病気に着目していきましょう。
高血圧が原因となる目の症状・病気
- 高血圧性網膜症
- 網膜静脈閉塞
- 虚血性視神経症
- 血管破裂と出血
- 緑内障のリスク増加
高血圧性網膜症
網膜とは、目の奥にある光を感じる部分です。高血圧が続くと、網膜の血管にダメージを与えます。これを高血圧性網膜症と呼びます。
高血圧性網膜症になると、網膜の動脈が硬くなって血管壁が白っぽく見えたり(①)、硬くなった血管が破れたり、破れた血管から出血や斑点ができて(②)しまい、視力の低下や視野欠損が起こる可能性があります。
重度の場合には、失明に至ることもあります。
網膜静脈閉塞
高血圧によって網膜の静脈が閉塞すると、血液が正常に流れなくなります。これが網膜静脈閉塞です。
60歳以上の高齢者に多く、高血圧・高脂血症・糖尿病などの疾患が原因となったり、遠視・緑内障などの目の病気がもともとある方に発症しやすいものです。
網膜静脈閉塞は、急激な視力の低下や視野の欠損を引き起こし、治療が遅れると永久的な視力障害に繋がることがあります。
虚血性視神経症
視神経(網膜で取り入れた光を脳へ届ける働きをしている神経)への血流が悪くなると、虚血性視神経症を発症する可能性があります。
この状態になると、視野の一部が見えなくなるなどの視覚障害が生じます。重症の場合、視力が大幅に低下することがあります。
血管破裂と出血
高血圧状態が続くことにより、網膜や血管を傷つけてしまいます。
網膜の動脈と静脈が交差する部分では、動脈硬化により硬くなってしまった動脈が静脈を圧迫してしまい、静脈が閉塞してしまうことがあります。
さらに進行すると、血管が破裂して目の中で出血が起こり、視力がぼやけたり、黒い点が見えることがあります。
緑内障のリスク増加
緑内障とは、視神経線維の脱落・減少により、視野の中に見えにくい場所が出現・拡大する病気です。
緑内障の原因は眼圧が高いことと記載されていることが多く、高血圧と直接の関係はないと言われていますが、網膜の血流状態によっては視神経線維への血流が悪くなり、緑内障につながる可能性もあります。
まとめ
本記事では、高血圧が目に与えるリスクについてまとめてきました。
血圧と目は関連がなさそうな印象を受ける方も多かったかもしれませんが、目の中には細かな血管がたくさん通っているため、血圧が高くなると負担をかけてしまい、さまざまな病気や症状につながります。
日頃から生活習慣に気を配り、適正な血圧にコントロールしていくように心がけましょう。