高血圧をほったらかすと胸腹部の恐ろしい病気につながるかも!【高血圧のいろはを理学療法士が解説します】
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
血圧が高いとなんとなく健康上良くないということは理解できても、どんな影響があるのかははっきりとわからないという方も多いのではないでしょうか。
高血圧が引き起こす健康上のリスクをひとつずつ解説していきます。
高血圧が原因で起こりうる主な病気
高血圧になると、以下のような病気のリスクが高くなるといわれています。
・脳の病気
・目の病気
・胸部・腹部の病気
・足の病気
本記事では、高血圧が引き起こす胸部・腹部の病気に着目していきましょう。
胸部・腹部の病気
血圧が高いことで注意しなければならない胸腹部の病気は大きく2つ挙げられます。
- 大動脈瘤
- 大動脈解離
大動脈瘤
心臓から送り出された血液は、図のように枝分かれしながら急カーブする、大きな血管(大動脈)の中を流れながら全身へ届けられます。
この大動脈がこぶのように大きく膨らんだ状態を大動脈瘤といいます。
大動脈は血液の流れの向きが変わるタイミングで名前が変わっており、胸部大動脈(上行大動脈・弓部大動脈・下行大動脈)と腹部大動脈にわけられます。こぶができた位置によって大動脈瘤の名前が変わることがあります。
大動脈瘤の原因と症状
原因
動脈硬化、高血圧、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、遺伝などのさまざまな要因が関係すると考えられています。
症状
ほとんどが無症状のまま大きくなっていきます。
こぶが大きくなってくると
- しわがれ声(嗄声:させい)
- 飲み込むときにムセやすくなる(誤嚥:ごえん)
- おへそのあたりで拍動を感じる(腹部大動脈瘤の場合)
といった症状を感じることがあります。
大動脈解離
血管は3層構造でできています。一番内側の内膜に亀裂が入り、真ん中の層である中膜が裂けてしまい、血液が流れ込んでしまうことがあります。
大動脈内に血液の新たな通り道ができてしまった状態を大動脈解離といいます。
好発年齢は70代ですが、生活習慣も発症要因とされており、40〜50代の発症もめずらしくありません。
大動脈解離の原因と症状
原因
動脈硬化、高血圧、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、遺伝などのさまざまな要因が関係すると考えられています。
発症時期は冬場が多く、夜間〜早朝の休んでいる時間よりは、朝6-12時の活動時間帯に多くの方が発症します。
症状
ほとんどの場合何の前触れもなく、突然、胸や背中の激痛とともに起こります。
また、血流障害が起こっている部位によって様々な症状がみられることがあります。
- 血圧低下
- 胸痛
- 上肢冷感
- 意識障害
- 血圧の左右差
- 背部痛
- 腹痛・腰痛
- 下肢冷感
- 運動障害
症状からピンポイントに大動脈解離と診断することが難しいこともありますが、突然の起こる胸や背中の激痛に対して、様子観察でも大丈夫なものはありません。
一刻も早く医療機関を受診し、治療を受けましょう。
まとめ
胸部・腹部の病気は早く見つかればお薬や手術での治療を選択できますが、進行して動脈瘤破裂などに繋がると一刻を争う事態となります。
日頃から血圧の管理や生活習慣に気を配り、健康寿命を延ばしていきましょう。