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地球の月が2つになる!?小惑星が9月末に最接近!2カ月間の地球周回中に衝突する危険性はある?

地球に二つ目の月ができた際のイメージ図 出典:Wikipedia

2024年9月末より地球の月が2つになることをご存知でしょうか。本記事では、新たに地球の衛星となる小惑星の詳細をはじめ、過去の天体衝突例などもご紹介します。

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■約2か月の間、地球の衛星が2つに

小惑星「2024 PT5」の軌道図 出典:Tony Dunn (X)
小惑星「2024 PT5」の軌道図 出典:Tony Dunn (X)

2024年8月7日、小惑星地球衝突最終警報システム「ATLAS」が、一つの小惑星を発見しました。その小惑星は9月29日より地球の重力に引き寄せられ、一時的に地球の二つ目の月(=衛星)となることが判明したのです。それでは接近する小惑星はどのような天体なのでしょうか。

「2024 PT5」と名付けられたその小惑星は、地球近傍の小惑星グループである「アルジュナ群」に属すると考えられています。気になるサイズですが、約10メートルと小型であり、目視では見つけることは難しいと考えられています。

9月29日に地球の衛星となった小惑星は、U字を描きながら地球を一周し、56日後の11月25日に地球を離れると考えられています。その後は元の太陽を中心とする軌道を周回することになります。その後も2025年1月9日に地球へ再度接近すると見られています。何だか今まで地球に衝突しなかったことが逆に珍しく感じてきますね。そして、次の最接近の機会は31年後の2055年だそうです。

実は、このように地球の重力が小惑星を一時的に捕まえることは珍しいことではなく、2006年にも小惑星が約1年間地球の周りを周回していたこともありました。

■地球への衝突の心配はない?

9月5日に地球へ突入した小惑星の突入経路を推定した範囲 出典:ESA
9月5日に地球へ突入した小惑星の突入経路を推定した範囲 出典:ESA

今のところ、「2024 PT5」が地球に衝突する心配はないと考えられています。仮に衝突したとしても、約18メートルを超えるサイズの小惑星でなければ、地表に到達する前に燃え尽きてしまうため、地球への被害を懸念する必要はないでしょう。

9月5日には、直径1メートルほどの小惑星が地球の大気圏へ突入したことでも話題になりました。時速6.27万kmという超高速で地球に接近したその小惑星は、地表に到達する前にフィリピン上空で燃え尽きるという結果となりました。

9月5日に小惑星が地球に突入、1メートルの小型サイズのためフィリピン上空の大気圏で燃え尽きる

地球の近傍を回っている大きさが140m以上の小天体は、25,000個を超えると推定されています。それでは、過去に被害が出たことはないのでしょうか?

■過去に起きた天体衝突と、近傍を天体が通過した例

ツングースカ大爆発の跡地 出典:Wikipedia
ツングースカ大爆発の跡地 出典:Wikipedia

1908年には、ロシアのポドカメンナヤ・ツングースカ川上流の上空で「ツングースカ大爆発」が発生しました。直径50m~60mの小天体が大気中で爆発したために、強烈な振動が発生し、爆心地から半径約30~50kmにわたって森林が炎上し、東京都とほぼ同じ面積の約2,150平方kmの範囲の樹木がなぎ倒されたと記録されています。

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ロシアのチェリャビンスク州に隕石落下 出典:Wikipedia
ロシアのチェリャビンスク州に隕石落下 出典:Wikipedia

2013年、ロシアのチェリャビンスク州に隕石が落下しました。強い閃光を放ち、煙の尾を曳きながら落下する火球がチェリャビンスク州などで観測されています。後の調査により、隕石全体の直径は数m~15m、質量は10トン、落下速度は秒速15kmであったと見られています。更に、その隕石は120万年前に地球に接近した際に分裂した小惑星のかけらであったと推定されています。爆発の規模は500キロトン以上で、広島に落とされた原爆の30倍以上の威力と推定されています。近郊には、8mほどの穴が開いていたり、600kgの隕石が発見されています。

ロシアの隕石墜落(2013年)、原爆の30倍以上の恐るべき威力とは?

牛久大仏サイズの小惑星が地球近傍を通過するイメージ
牛久大仏サイズの小惑星が地球近傍を通過するイメージ

2024年6月29日(土)夜10時、小惑星「2024 MK」が地球から29万km付近を時速数千kmで通過しました。地球と月の距離は約38万kmですので、月よりも近い領域を通過したのです。この小惑星が発見されたのは、わずか2週間前だったとのことです。大きさの推定は直径120~260m、皆さんの大好きな牛久大仏は120メートルですので、まさに牛久大仏サイズの小惑星が地球のすぐ近くを通ったこととなります。このようなイベントが起こるのは非常にまれであり、数年に1度しかない頻度です。

牛久大仏サイズの小惑星が、2024年6月29日に地球へ最接近予定 月よりも近くを通過

小惑星アポフィスが地球に接近する様子 出典:NASA
小惑星アポフィスが地球に接近する様子 出典:NASA

2029年、小惑星アポフィスが地球に接近することをご存知ですか。実は、このアポフィスは将来にも2036年や、2068年など何度も地球に接近することが判明していますが、実は地球へ衝突する可能性があるとのことで世間を賑わせているのです。

アポフィスは直径340mの小惑星で、東京タワーに相当する高さです。国際宇宙ステーションの高度は400kmのため衝突する心配はありませんが、静止軌道にいる衛星は衝突の危険性があります。もしアポフィスが地球に衝突したとすると、広島の原爆の約3万倍のエネルギーである、500メガトンの爆弾と同等の威力との事です。

小惑星アポフィスが2029年に地球へ接近 13歳の少年が指摘した衝突の可能性は?

DART計画 出典:NASA
DART計画 出典:NASA

本当に小惑星が地球に落下すると思ったら、怖くて夜空も見上げられないですね。それでは、私達はただ怯えて待つしかできないのでしょうか。実は、NASAでは小惑星撃退技術の研究が進められています。ご興味がある方は、以下のリンクをご覧ください。

小惑星体当たり実験「DART」史上初の惑星防衛ミッション、NASA探査機が小惑星の軌道を曲げる

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