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小惑星の砂から微生物汚染を発見、はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」から持ち帰ったサンプルが地上で汚染か

リュウグウサンプルで見つかった微生物汚染 出典:Matthew J. Genge

2020年、小惑星探査機「はやぶさ2」はリュウグウからサンプルを地球に持ち帰ることに成功しました。そして2024年11月13日、イギリスの研究グループが、リュウグウのサンプルに地球由来である微生物汚染が発見されたとする論文が発見されました。本記事では、微生物汚染に関する一連の概要をご説明します。

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■リュウグウのサンプルに地球の微生物が付着?

リュウグウサンプルで見つかった微生物汚染 出典:Matthew J. Genge
リュウグウサンプルで見つかった微生物汚染 出典:Matthew J. Genge

はやぶさ2は、小惑星リュウグウからサンプルリターンを行うことで、惑星の起源だけでなく地球の海の水の起源や生命の原材料をも探求する目的のため、2014年に打ち上げられました。そして2020年12月、5.4グラムのサンプルを搭載したカプセルは地球に帰還し、見事サンプルリターンに成功しています。

その後、サンプルは世界各国の研究機関に配られ、本格的に分析がされていました。そして、11月13日にイギリスのロンドン王立大学ゲンゲ博士により、一つの論文が発表されました。その内容は、JAXAにより配布されたリュウグウ粒子に、地球上で付着したと考えられる微生物が確認されたとのことでした。

一方で、JAXAでは微生物汚染が万全に対策されており、地球の空気に触れることなく専用の容器に密封されています。そのため、JAXAの保管環境で微生物汚染が発生した可能性は極めて低いことが、JAXAより発表されています。

■リュウグウの粒子が異なる研究目的で使用されている?

はやぶさ2 出典:JAXA
はやぶさ2 出典:JAXA

また、JAXAからはもう一つ声明が発表されています。まず、リュウグウの粒子は研究公募のプロセスを経たグループに対して配布されており、今回発表された論文については相違があるという内容です。元々ロンドン王立大学が提案していたテーマは、リュウグウの粒子と地球上で見つかる微隕石との比較であったとのことで、これとは異なる研究については選定をしていないとのことです。

小惑星探査に対して、改めて微生物汚染の重要性が明らかとなった今回の一連の出来事ですが、果たして今後どのような展開を見せるのか注目です。

ちなみに2024年11月10日には、京都大学がリュウグウのサンプルの中に「塩の結晶」が含まれていることを発見しました。詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

「塩の結晶」を小惑星の砂に発見、はやぶさ2が探査したリュウグウは元々海洋天体の一部だった?


【関連動画】

リュウグウ粒子から微生物汚染が見つかったとする論文について

Rapid colonization of a space-returned Ryugu sample by terrestrial microorganisms

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