牛久大仏サイズの小惑星が、本日6/29夜に地球へ最接近予定 月よりも近くを通過、衝突の危険性はある?
本日6/29(土)夜10時ごろ、牛久大仏サイズの小惑星が地球から29万km以内の領域を通過することが判明しました。つい1日前にも、「惑星キラー」と呼ばれる巨大小惑星が地球付近を通過したばかりですが、今回の小惑星についても解説していきます。
「惑星キラー」の巨大小惑星が朝5時に地球近傍を通過、衝突していたら恐竜絶滅級の大災害になっていた?
■6/29(土)夜に小惑星「2024 MK」が地球近傍を通過
本日6/29(土)夜10時、小惑星「2024 MK」が地球から29万km付近を時速数千kmで通過することが判明しました。地球と月の距離は約38万kmですので、月よりも近い領域を通過する見込みです。この小惑星が発見されたのは、わずか2週間前だったとのことです。
大きさの推定は直径120~260m、皆さんの大好きな牛久大仏は120メートルですので、まさに牛久大仏サイズの小惑星が地球のすぐ近くを通るのです。このようなイベントが起こるのは非常にまれであり、数年に1度しかない頻度です。
それでは、気になるのは地球への衝突の危険性はないのでしょうか?ご安心下さい。欧州宇宙機関によると、衝突する可能性はないとのことです。さらに、この小惑星はピーク時に8.5等級の明るさに達する見込みのため、望遠鏡などを使えばその姿を見ることができるかもしれないのです。近年観測された小惑星の中でも、最も明るくなるという絶好のチャンス、あなたも天体観測をしてみては?
それにしても、もし地球に落下していたら大規模な被害を招きかねなかった小惑星ですが、過去には衝突した事例はあったのでしょうか。実は今から100年以上も前の1908年の今日、ある事件が発生していました。
■歴史に残る天体衝突「ツングースカ大爆発」「チェリャビンスク州隕石落下」
ツングースカ大爆発は、1908年にロシアのポドカメンナヤ・ツングースカ川上流の上空で起こった大爆発です。直径50m~60mの小天体が大気中で爆発したために、強烈な振動が発生し、爆心地から半径約30~50kmにわたって森林が炎上し、東京都とほぼ同じ面積の約2,150平方kmの範囲の樹木がなぎ倒されました。1,000km離れた家の窓ガラスも割れています。爆発によって生じたキノコ雲は数百キロ離れた場所からも目撃されました。イルクーツクでは衝撃による地震が観測されています。
しかし、ツングースカ大爆発から約100年間、その原因は不明だったのです。
そして時は流れ2013年、ロシアのチェリャビンスク州に隕石が落下する事故が発生しました。落下時に発生した衝撃波による自然災害で、史上初めて大規模な人的被害をもたらした災害となったのです。
強い閃光を放ち、煙の尾を曳きながら落下する火球がチェリャビンスク州などで観測されています。まず上空で火球が観測され、そのあと上空15~50kmで爆発し、複数の破片に分裂して落下しました。物体は一時的に太陽より明るくなり、朝の地上に影を作り出すほどに輝いていました。爆発の規模は500キロトン以上で、広島に落とされた原爆の30倍以上の威力と推定されています。近郊には、8mほどの穴が開いていたり、600kgの隕石が発見されています。
後の調査により、隕石全体の直径は数m~15m、質量は10トン、落下速度は秒速15kmであったと見られています。更に、その隕石は120万年前に地球に接近した際に分裂した小惑星のかけらであったと推定されています。
そして、2013年のチェリャビンスク州の隕石落下がきっかけとなり、1908年のツングースカ大爆発が、研究者の再現実験などにより同様のメカニズムで起こりうることが実証され、約100年ごしでツングースカ大爆発の謎が解明されたのです。
ロシアの隕石墜落(2013年)、原爆の30倍以上の恐るべき威力とは?
本当に小惑星が地球に落下すると思ったら、怖くて夜空も見上げられないですね。それでは、私達はただ怯えて待つしかできないのでしょうか。実は、NASAでは小惑星撃退技術の研究が進められています。ご興味がある方は、以下のリンクをご覧ください。
小惑星体当たり実験「DART」史上初の惑星防衛ミッション、NASA探査機が小惑星の軌道を曲げる
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