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生焼けハンバーグ 法的問題は? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

東京の飲食店で生焼けのハンバーグが客に提供されたとして話題となっています。ナイフでカットすると中が赤く、熱した鉄板の皿で客自身が焼き上げるスタイルでした。ネット上では「食中毒のリスクが高い」という意見が示される一方で、「新鮮な肉と清潔な調理であれば問題はなく、自分で焼くのは楽しい」といった声も上がっています。こうしたレアハンバーグを巡る法的問題について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「厚労省が定める基準では、ハンバーグを焼くときは、中心部を75度で1分以上加熱することになっている」
出典:JCASTニュース 2024/12/10(火)

「ハンバーグは生で提供されても、ユッケのように生食用ではなく、また卓上で焼くスタイルは焼き肉も同じで、禁止できないのが現状」
出典:産経新聞 2018/9/13(木)

「生焼けのハンバーグを食べたことと体調不良との間に因果関係があることが証明されれば(中略)損害賠償を請求することができます」
出典:弁護士ドットコムニュース 2023/5/1(月)

「レアかどうかは、色を見ればわかりますから、食べてしまったお客さん側にも過失が認められる可能性があるでしょう」
出典:弁護士ドットコムニュース 2017/8/11(金)

エキスパートの補足・見解

今回の飲食店ではこれまで食中毒の発生こそなかったものの、だからといって安心というわけではありません。例えば、客の前でレアハンバーグをカットして焼き上げていた横浜の有名なレストランチェーンが5店舗で客14人に重軽傷を負わせる食中毒事件を起こしたのは、創業から31年後のことでした。パティに混入していたとみられるO-157が原因でした。

レアハンバーグのケースではないものの、2011年に富山など4県6店舗の焼き肉チェーン店で発生したユッケによる食中毒事件では、181人が発症し、5人が死亡しました。廃業に追い込まれた上、裁判で約1億6900万円の損害賠償責任が認められた運営会社は2023年に破産に至っています。

今回の飲食店も、一連の騒動を踏まえ、今後は客に焼かせるのをやめ、店の方で中心部まで火を通した上で提供するスタイルに改めると述べているところです。ほかにもレアハンバーグを提供している飲食店は多いのですが、もし食中毒が発生した場合、レアだと分かった上で食べた客については過失相殺により賠償額が大幅に減らされることもありうるので、注意を要します。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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