NASAの月面着陸が2027年に延期、宇宙船の耐熱シールドに破損を確認、地球大気圏への突入時に発生か
NASAが推進している月面開発計画「アルテミス」では、宇宙飛行士を2026年までに月面へ送り込むことが予定されていましたが、不具合により1年延期されることが決定しました。本記事では不具合の詳細をはじめ、アルテミス計画の全貌をご紹介します。
■半世紀ぶりの有人月面着陸「アルテミス計画」
NASAのアルテミス計画は人類を再び月面に立たせ、将来の火星有人探査に繋げていこうという計画です。日本も宇宙飛行士が搭乗する月面探査車などで協力することを表明しています。
最初のミッションとなる「アルテミス1」は2022年に打ち上げられ、無人のオリオン宇宙船の飛行試験に成功しています。続く「アルテミス2」では、宇宙飛行士4名が月周回飛行を行い、地球へ帰還します。そして、「アルテミス3」でいよいよ半世紀ぶりに人類が月面へ降り立つことになります。2030年代後半の火星有人飛行を視野に見据えているとのことです。
しかし、NASAの発表によるとアルテミス2は2025年9月から2026年4月に、月面着陸を行うアルテミス3は2026年9月から2027年半ばに延期されることが発表されました。
■オリオン宇宙船の耐熱シールドで破損が確認
その理由は、宇宙飛行士たちと貨物を月近傍まで送る「オリオン宇宙船」で発見された不具合です。
2022年にオリオンは地球の大気圏に再突入し帰還に成功しましたが、耐熱シールドに破損が確認されました。原因調査によると、突入時の熱により耐熱シールド内でガスが発生し、圧力が高まったことが考えられるとのことです。もし宇宙飛行士が搭乗した状態でこのようなトラブルが発生すると、生命を危険に晒す可能性が考えられてます。
今回の不具合を受けてNASAは、オリオンへの加熱をできる限り減らすことのできる再突入軌道へ変更することが検討されているとのことです。
■月面着陸を担うのはスペースXの「スターシップ」
なお、宇宙飛行士を月面へ届けるのは、スペースXが開発中の大型宇宙船「スターシップ」です。このスターシップは、打ち上げロケットであるスーパーヘビーと組み合わせることで、全長120m、直径9m、という超巨大な宇宙船になります。
オリオンで月周回有人拠点「ゲートウェイ」に到着した宇宙飛行士は、スターシップに乗り込み半世紀ぶりの月面着陸に挑戦することとなるのです。NASAのスケジュールによると2026年に無人の月面着陸に挑戦する見込みとみられ、こちらの開発も楽しみですね。
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