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雄信内駅と共に来年3月廃止へ 板張りホームの秘境駅 宗谷本線 南幌延駅(北海道天塩郡幌延町)

清水要鉄道ライター
南幌延駅

北海道天塩郡幌延町は、町内にある宗谷本線の2つの無人駅、雄信内(おのっぷない)駅と南幌延(みなみほろのべ)駅について、来春のダイヤ改正に合わせて廃止する方針を明らかにした。来月にもJRに廃止の意向を伝え、このまま廃止が確定するものと思われる。

南幌延駅 改修前の待合室
南幌延駅 改修前の待合室

南幌延駅は昭和34(1959)年11月1日開業。鉄道ファンからは「朝礼台」と呼ばれる板張りホームの駅で、ホームから道路を挟んだところに掘立小屋のような小さな待合室がある。駅周辺には広大な牧草地が広がり、すぐそばを道道256号豊富遠別線が通っているものの、見える範囲に建物は少ない。鉄道ファンから「秘境駅」と呼ばれる駅の一つで、幌延町は町内の他の駅と共に南幌延駅も観光資源として活用してきた。令和元(2019)年10月13日には開業60周年を記念して待合室の改修が行われ、待合室をイメージした同駅のイメージキャラクター「ミナミほろりんさん」が描かれている。

南幌延駅
南幌延駅

一日の平均乗車人員は0.0人という状況が平成29(2017)年度以降続いており、JR北海道から廃止方針が示されたこともあったが、令和3(2021)年度以降、町内の他の無人駅と共に幌延町が費用を出して維持管理することで存続してきた。

安牛駅 
安牛駅 

令和3(2021)年3月13日ダイヤ改正では、幌延町内でも安牛駅と上幌延駅の2駅が廃止となったが、この2駅の中間にあった南幌延駅は廃止を免れた。安牛駅と南幌延駅の間が1.9キロ、南幌延駅と上幌延駅の間が3.0キロと比較的近く、両駅の廃止によって最寄り駅を失う住民が南幌延駅を代替駅とできるようにとの配慮だろう。

こうして一度は廃止を免れた南幌延駅だったが、豪雪地帯ゆえに除雪費用も含めた維持管理費の負担が重く、老朽化した駅設備の修繕費用も必要になることから、幌延町も存続を断念。雄信内駅と共に廃止への道を辿ることとなった。

幌延町にある宗谷本線の駅は問寒別、糠南、雄信内、南幌延、幌延、下沼の5駅で、特急も停まる幌延駅を除いた4駅はいずれも利用者が極めて少ない。問寒別、糠南、下沼の3駅については廃止の方針は示されていないものの、同じように廃止になる可能性が低いわけではなく、今後が気にかかる。

上幌延駅
上幌延駅

3年前に廃止された安牛駅と上幌延駅は、廃止後にホームが撤去されたものの、貨車駅舎は移設の上で保存されている。廃止後の南幌延駅と雄信内駅がどうなるのか詳細は発表されていないものの、何らからの形で駅があった証が残されることに期待したい。

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鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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