未婚男性が不幸な地域ほど未婚女性の幸福度が高い件「都道府県幸福度ランキング女性版」
未婚女性の幸福度
前々回の記事(→都道府県別幸福度ランキングからわかる「未婚男性の不幸度が高い理由」)で、未婚男性の都道府県別幸福度をご紹介したが、今回はそれの未婚女性版である。
まず、大前提として幸福度は男性より女性の方が高く、それは未婚男女で比しても同様である。ただし、それが、もし男女の幸福度に関する感受性の差だけからきているのだとすれば、都道府県別でみても、男女の差こそあれ、幸福度ランキング自体は男性とたいして変わらないはずだと思っていた。要するに、「男性が幸福なエリアは女性も幸福で、不幸なところは男女とも不幸ではないか」と。
しかし、実態は違った。
想像以上に、エリアによって男女の幸福度は大きく違っていたのである。
以下に、未婚女性(対象は男性同様20-50代の約9600人に対するネット調査)の幸福度ランキングを掲出する。カッコ内の順位は未婚男性の順位である。
1位 和歌山県(12位)
2位 佐賀県(37位)
3位 沖縄県(3位)
4位 奈良県(22位)
5位 山口県(21位)
6位 三重県(13位)
7位 滋賀県(31位)
8位 島根県(40位)
9位 岡山県(44位)
10位 熊本県(38位)
…
43位 福島県(39位)
44位 茨城県(5位)
45位 青森県(46位)
46位 高知県(43位)
47位 香川県(29位)
マップにすると以下のようになる。男性版と見比べてみてほしい→男性版
未婚女性の幸福度が高い上位10エリアを見ると、1位の和歌山を筆頭に幸福度が高いのは近畿圏と中国地方が多い。ボトム5を見ると、東北と四国が多いのは未婚男性と共通するが、男性では幸不幸が両極に分かれた九州だが、女性は大体平均で統一されている。
男女で正反対の傾向の不思議
しかし、何より注目すべきポイントは、男性と女性とで幸福度の高低が逆転しているところである。
たとえば、女性2位の佐賀は男性は37位、男性5位の茨城が女性では44位と正反対である。ちなみに、未婚男性の幸福度1位の宮崎は女性では16位、男性最下位の47位の秋田は女性では28位だった。未婚男性が幸福なエリアでは未婚女性は不幸で、未婚女性が幸福なところでは未婚男性は不幸を感じやすいということになる。
同エリアで未婚男女とも幸福度が高いのは沖縄のみで、反対に男女とも幸福度が低いのは、高知、青森、福島である。
幸福度の男女差分がもっとも大きい(男性より女性の方が圧倒的に幸福度が高い)のが秋田県であり、もっとも小さい(男女の幸福度の差がない)のが茨城県である。
男性が不幸だと女性は幸福?
この男女差分の大きさとそれぞれ男女の幸福度とを比べると、差分が大きいほど(秋田のように女性の幸福度の方が男性より高いほど)男性の幸福度は低くなり、女性の幸福度は高まるのだ。
つまり、これは、未婚男性が不幸であればあるほど未婚女性は幸福になるということであり、一方で、男女間で幸福格差がなければなくなるほど、むしろ女性は不幸度が増すということにもなる。
但し、あくまで相関であり、そこには因果はない。
よって、「未婚男性を不幸にすれば未婚女性が幸福になる」とは言えないし、「未婚女性が不幸になれば未婚男性は幸福になる」ということではない。
未婚の男女がそれぞれのエリアで規範や風習等共通する環境下においても、個人の職業や年収、健康状態および家族との同居状態や兄弟関係によって変わってくるだろう。
しかし、未婚男女が同じように幸福度を高めて、互いの幸福格差をなくしたからといって、それがそれぞれの幸福とは結び付かない可能性があるということでもある。
婚姻率と無相関の女性の幸福度
前回の記事で分析したように、未婚男性の幸福度は婚姻率と大きく相関していた。そして、それは「結婚すれば幸福になるのではなく、幸福な男が結婚している」という因果ではないかと結論づけた。
しかし、真逆の幸福度傾向である未婚女性の場合、婚姻率と幸福度とはまったく相関しない。未婚の不幸が多い男性と違って、女性は結婚しようがしまいが、それが幸福度には何の影響も与えないのだ。
これだけで結論を出すのは当然早計だが、いろんな仮説が考えられる。未婚男女の幸福度と恋愛や結婚についての様々なクロス集計を実施しているので、おいおいこの連載上で紹介していく予定である。もしかして、こちらで記事化した未婚男女の死亡年齢中央値の大幅な格差とも関係するかもしれない。
→「いのち短かし、恋せぬおとこ」未婚男性の死亡年齢中央値だけが異常に低い件
今思えば、皆婚時代の1980年代にこの都道府県別の未婚男女の幸福度を調査していれば、結婚と幸福度と男女の違いという部分がより明白になったのだが、残念ながらそんな調査は私も国もしていない。
そもそも、1980年代に未既婚別・配偶関係別の調査自体皆無だった。それもそのはずで、1980年代の皆婚時代かつ恋愛至上主義時代においては、まさか40年後にこれほど未婚率が高まるとは想像をしていなかっただろう。
が、その当時にバブル景気の中で恋愛に浮かれていた世代が、2010年以降生涯未婚率の最大値を更新し続けているというのもまた皮肉な話である。
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