都道府県別幸福度ランキングからわかる「未婚男性の不幸度が高い理由」
未婚と既婚では幸福度は違う
たまに、都道府県別幸福度ランキングのようなものがニュースになったりする。幸福度という主観的な感覚の問題を他人および他の居住地と比較することに意味があるとは思えないが、ランキング好きな日本人にはウケがいいらしい。
話のネタとして、それはいいとしても、大体のランキングはせいぜい男女別まではあっても、配偶関係別で区別しているものはほとんどない。かつて皆婚で、ほとんどが有配偶であった時代はいざ知らず、未婚や離婚で独身が増えた現代においては、独身なのか有配偶なのかという環境ひとつで実は幸福度は違うものである。
→なぜ男性は不幸なのか。なぜ40~50代は不幸なのか。なぜ未婚の中年男性は不幸なのか
上の過去記事に書いたように、簡単にいえば、幸福度とは女より男が低く、既婚より未婚が低く、年代別に見れば、若者より中年(特に40代)がもっとも低くなる。統合すれば、もっとも幸福度が低い(=不幸度が高い)のは、40代の未婚男性ということになる。
であるならば、都道府県の幸福度も男女別未既婚別でみれば、また違った結果になるのではないか。
未婚男性だけの幸福度ランキング
とういことで、20-50代の未婚男性だけを抽出した形で、幸福度の都道府県ランキングを出してみた。
幸福度は、自分の主観で「現在の幸福度を100点満点中何点かで採点してもらったものの平均」である。
結果は、未婚男性の中で幸福度の高いベスト10は以下のようになった。
1位 宮崎県
2位 大分県
3位 沖縄県
4位 広島県
5位 茨城県
6位 東京都
7位 京都府
8位 福岡県
9位 鳥取県
10位 神奈川県
上位10の中に九州沖縄地方が4つ入っているが、同様に東京、神奈川という首都圏もランクインしている。
一方で、ボトム5は以下である。
43位 高知県
44位 岡山県
45位 愛媛県
46位 青森県
47位 秋田県
テキストだけではイメージしにくいので、地図上にマッピングしてみた。
未婚男性全体の平均比によって平均より高い(幸福度が高い)のが青色系、低いのが赤色系で、白はほぼ全国平均と同等という意味である。
こうして見ると、東北全県と北関東の栃木にかけては全体的に未婚男性の幸福度が低く、四国も全県低い。北陸から岐阜甲信地方も低い。九州は幸福度が高い所もある反面、低い所もあるという両極化である。
反対に、東京周辺の首都圏は割合に高い方だし、関西から愛知にかけてもそれほど低くない。
東北と四国全滅の謎
繰り返すが、幸福度は主観的なもので、しかも今回は自己採点によって分類したものであるから、これが絶対的な比較指標にはならない。
しかし、なぜ東北全県と四国全県がそろって低いのかという点は、東京圏、大阪、愛知、福岡、広島といった大都市は揃って高い部類であることも含めて興味深い。
すぐに思いつくのは、この都道府県別の幸福度の差は経済満足度の差ではないかという点である。つまり、経済的に豊かであれば幸福度も高まるということだ。
しかし、東京は確かにそうかもしれないが、それでは宮崎・大分・沖縄が上位に来る説明にはならない。実際、経済未婚男性の年収との相関も見てみたが、それほど高い相関はない。
未婚男性の幸福度に影響を及ぼす指標とは何だろうか?
それが婚姻率である。
単年単位でははずれ値がある場合が出るので、人口動態調査から2015-2019年の5年間の平均婚姻率を計算し、それとの相関を見た。
結果が以下である。
婚姻率が高いほど、幸福度は高いというやや強い相関が見られる。ちなみに相関係数は、0.5511である。
「結婚したからしあわせ」なのではない
勘違いしてはいけないのは、「ほら、だから、結婚した方が幸福になれるのだ」と思ってはいけないということだ。逆なのである。「結婚すればしあわせになれる」のではなく、「元々、しあわせな人間が結婚していく」のだ。
よくよく考えてほしいのだが、「俺は不幸だぜ」というオーラ満載の男と恋愛したり、結婚したりしようと思う相手がいるだろうか?男女逆にしても同様だろう。
これは統計的にも明らかで、未婚の中年に不幸感高い人が多いのは、「中年になっても結婚できないから不幸」なのではなく、「元々、不幸だった男が中年になってもそのまま不幸でいる」だけの話なのである。
婚姻率の高さと未婚男性の幸福度の高さがある程度相関していることは間違いないので、特に地方の婚姻率を高めたいのであれば、自治体がやるべきは、官製婚活パーティーをやるとかマッチングアプリ業者と提携して無駄に税金を使うことではない。そもそも、地方に住む未婚の若者たちの幸福度をあげた方がいいという視点が生まれてくる。
そのためには、地方に住む未婚の若者の幸福度を阻害しているものは何なのか?についてまず真摯に向き合う必要がある。不幸を感じるのは環境の問題が大きいからだ。地元の声を聞き、実態を把握し、その問題点を抽出していくべきだろう。先に着手した方がいいのはそっちである。
※未婚女性版は後程。
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