「好きにならない女」と「好きになってもらえない男」という結婚が増えない根本的な理由
結婚していない理由とは?
毎度のことながら、またも身も蓋もない話をする。
平成31年に内閣府が実施した「少子化社会対策に関する意識調査」において、20-49歳の結婚願望のある未婚男女を対象として「あなたが今結婚していない理由」を聞いたものがある。
それによれば「まだ若い」「まだ必要性を感じない」「仕事に打ち込みたい」「自由さを失いたくない」という、どちらかといえば結婚に今は「時期が悪い」という理由をあげる人が男女とも大体2割程度。また、「結婚資金や住居など経済的な問題」を理由としているのが男3割、女2割ほどいる。
さらには、「異性とうまく付き合えない」というのが男28.5%、女23.7%もいる。「結婚したいと思っているのに、それ以前の問題じゃないか」と思うかもしれないが、以前記事化した通り、今まで一度も恋愛をしたことがない恋愛未経験者は、20代未婚男性で27.3%、30代でも23.6%も存在するわけで、別に不思議ではない。
→生まれてから一度も恋愛相手がいたことのない「生涯未恋率」は男女それぞれ何%か?
巡りあえない男女の溝
しかし、もっとも多いのは、男女ともに「適当な相手に巡りあえない」で男45.9%、女48.1%と、実にほぼ半分近くがそれを理由としてあげている。
同調査では、この「相手に巡りあえない」と答えた未婚男女に対して、さらに「相手に巡りあえない具体的な内容とは?」と深掘りしている。
その回答が以下である。それぞれ男女の差分で比較してみたところ、「相手に巡りあえない理由」が男女でまったく違うことがわかった。
女性の場合は、「条件に見合う相手がいない」など、よく婚活系の記事で言われる「年収いくら以上」など高望みすぎる条件が原因だったり、「好きになっても相手が既婚者」「交際するが別れる」などのように、一見恋愛をしているようだが、客観的にみれば「それっていいように遊ばれただけでは?」と言いたくなるようなケースもみられる。
そして、男女差分で特に女性に多いのが「そもそも人を好きにならない」という身も蓋もない回答であった。
一方、男性の方は、「そもそも周りにいない」という地方在住者にとっては身につまされる場所的な問題などもあるが、圧倒的に多いのが「好きな人がいても相手が好きになってくれない」というものである。こちらも身も蓋もない。
つまり「好きにならない女」と「好きになってもらえない男」が「結婚したいのに結婚できない」状態のまま、生涯未婚年齢を迎えてしまうという図が目に浮かぶ。「失恋」ですらない、いつかやってくるだろうという「未恋」でもない。「無恋」なのである。
それぞれ実割合でいえば、「好きにならない女」は2割、「好きになってもらえない男」も2割存在する。
恋愛できなければ結婚できない
そもそも最初から結婚するつもりのない「ガチソロ」勢は仕方ないが、「結婚したいのにできない」層が2割もいるのは不憫ではある。が、伝統的なお見合い結婚がほぼ5%以下となってしまった現代においては、自由結婚という名の下で「恋愛できなければ結婚できない」という状態に置かれていることも確かである。いわば、恋愛と結婚の自己責任化である。
何度も言うように、何の努力も学習もしなくても自然に恋愛してしまう「恋愛強者」の3割は問題ない。勝手に恋愛して、結婚して、浮気して、離婚して、再婚もするだろう。しかし、そうはいかない7割の恋愛弱者のうち、5割程度は何かの偶然によって(相手が恋愛強者の場合もある)結婚にまで発展していることは、実際に1000組の夫婦調査によって明らかである。
→恋愛弱者の「恋愛力下剋上婚」の割合はどれくらいか?実際の夫婦調査から
しかし、この「好きにならない女」と「好きになってもらえない男」問題はいかんともしがたい問題といえよう。
それこそ好きでもない男と無理やり結婚させるわけにもいかない。好きにならない女が2割いる以上、確実に2割の男は余ってしまう。
「好きになってもらえるように男が努力すべきだ」という意見もあろうが、努力してなんとかなるものならとっくになっているだろう。そもそも、「自分の好きな相手に好きになってもらえないことを、自分の努力だけでなんとかできる」と妄信するならば、それはストーカー化してしまう。
大体、それでなくても430万人もの未婚男性余りなのだ。もう、とっくに詰んでいる。
→未婚男性の「男余り430万人」の実態~もはや若者ではなくおじさん余りへ
少子化対策は婚姻数増加が必須条件だが…
少子化は婚姻数の減少の影響が大であり、政府もようやく「婚姻促進が少子化対策のキモ」であることを認識しだしてきたが、こういう現実をふまえるととても婚姻が増える見込みは薄いだろう。
「金がないから結婚できない」問題が取りざたされて、若者の経済環境を改善すれば婚姻も増えるはずという論説も見かけるが、確かにそれで救われる層もいる反面、「好きにならない女」と「好きになってもらえない男」問題は解決しない。
結婚したい人が結婚できる割合は、30-34歳という結婚に向かっての年齢的に最後の段階において、わずか50%の達成率しかないことが何よりの証拠だろう。
むしろ、「結婚は恋愛の延長である」というような1980年代の恋愛至上主義につくられた幻想に縛られているうちはもはや婚姻数の増加など無理な話なのかもしれない。さりとて、伝統的なお見合いが復活することもないだろう。
かくして拙著のタイトルのような「結婚滅亡」という方向に向かっていくのである。
むしろ、早々に結婚から降りて、自分の好きな趣味などに時間とお金を費やしている未婚男女の生き方の方がしあわせなんじゃないかとすら思うのである。
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