「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文5)はやぶさ2は“持っていた”
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日午後、記者会見を開き、探査機「はやぶさ2」が分離したカプセルの回収状況を説明した。 【動画】「はやぶさ2」が分離したカプセルを無事回収 JAXAが会見(2020年12月6日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「「はやぶさ2」が分離したカプセルを無事回収 JAXAが会見(2020年12月6日)」に対応しております。 ◇ ◇
これまでのミッションとの差は
記者3:これは國中先生にお伺いしたいと思いますけども、これまで宇宙研、「さきがけ」、彗星でディープスペースの探査が始まって、そのあと「のぞみ」、「あかつき」、「はやぶさ」と、失敗であるとか、あまり健全ではない状態の飛行が続いてきました。で、今回、「はやぶさ2」は完璧に近いというか、ほぼ完璧な成功を収めたということなんですけども、これら今までの難しい状態になってしまった、あるいは失敗してしまった探査機と、今回の「はやぶさ」、ミッション全体を通じてどのような差があったと見ておいででしょうか。お考えをお聞かせ願えればと思います。 國中:やはり「はやぶさ1」のいきさつというのは大変大きな影響力があったのかなと思います。つまり小惑星サンプルリターンという言葉自体はおのおの理解できるものの、それがどういうふうに組み立てられて、それを実際した結果、どういう結果をもたらすのかということを知っていたのは、たぶん上杉先生や川口先生だけだったんじゃないかなと思います。当然、私も「はやぶさ1」のイオンエンジン担当としては参加しておりましたけれど、で、当然イオンエンジンの担当者としてイオンエンジンの部分については精通していたと思います。
「はやぶさ1」で全員が小惑星サンプルリターンの意義を認識
しかし非常にローカルな見識しかなくて、全体像というのを参加している当時の私が認識していたかというと、あまり認識していなかったんではないかなと今思います。で、「はやぶさ1」が2003年から2010年にかけて、ああいった工程で物事を行い、それで地球に帰ってきたあとに、大変、日本中、世界中から応援をいただいて、それからサンプル分析ということがどんどん行われて、それによって「はやぶさ2」に参加する人が、全員が小惑星サンプルリターンの意味付けや意義、それから自分が担当する部分の重要性というのを認識し合うことができたんだと思います。 なかなかお話はできませんが、2011年から2014年にかけて3年半の工期で「はやぶさ2」をつくったんですけども、それはそれはたくさんいろんなトラブルがありまして、なかなか、2014年12月に間に合うのかなというのは非常にピンチな場面がたくさんあったんですけれども、そのたびに一致団結して新しいスケジュールを立て直して、トラブルを解消して一歩ずつ進めることができたのは、それはチームが一丸となれたこと、それはやはり「はやぶさ1」のもたらした共通認識をみんなが共感、共有できたということが非常に大きかったことだと思います。その意味でやはり「はやぶさ2」は「はやぶさ1」の礎の下に成り立っているんだと思います。その意味では、そうですね、やはり火星探査というのも、もう一度やらなければいけないと思いますし、金星探査というのも、もう一度、挑戦してみたいというふうに考えています。 記者:「のぞみ」、「あかつき」の経験が生きたとか、そういった観点はあるんでしょうか。 國中:もちろん、直前には「あかつき」の故障がありましたので、そのトラブルの原因を、「はやぶさ2」ではそれを再現させないようなつくり込みというのがなされています。それから「のぞみ」の知見も大変積まれていて、例えば「のぞみ」で言いますと、送信機が1つしかなかったんですけれども、それ以降の探査機では必ず2系統積むように修正されています。そういったこと、そういった知見、経験が「のぞみ」以降、「あかつき」以降は踏襲されています。 記者3:ありがとうございます。また、ご成功おめでとうございます。 司会:ありがとうございました。それでは3列目でまだご質問されてない方いらしたら。はい、真ん中の方どうぞ。