「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文5)はやぶさ2は“持っていた”
緊張関係は必要だと思っている
それから宇宙科学研究所は、ほかのJAXAの部門とちょっと違いまして、教育機関を持っているがために卒業生がそのまんま職員になってるというケースが多くてですね。ある意味、私の同級生もいっぱい研究所の中にいたりするわけですよね。で、後輩だったりするわけですね。そういう関係は、いいときはいいですけども、悪いときはやっぱり、なあなあ関係になって緊張感の薄れたぬるい仕事になる可能性があるんではないかということを私は危惧しています。そういう意味で緊張関係、緊張状態というのが必要だと思っているという意味です。 それからもう1つは、適正な規模の科学、宇宙科学というのもやはり問われる内容だと思っていて、無尽蔵に費用やリソースを消費することは許されないですし、JAXAの予算の規模の中で、もしくは日本の国力の範囲の中でどれが適正かという議論は当然されると思います。ですからその中で、われわれがいつも、国民、国家からクリティサイズされることを考えた上で、正しく、それから誠心誠意を持って物事を運べるような組織やチームであるべきだと思っています。以上です。 ニッポン放送:ありがとうございました。人生の参考にもさせていただきます。ありがとうございました。 司会:ありがとうございました。それでは真ん中の女性の方どうぞ。
オリジナリティーをどの程度入れることができたか
毎日新聞:毎日新聞の永山です。このたびはおめでとうございます。津田さんが確か探査機の開発中におっしゃってたと思うんですけれども、「はやぶさ」の踏襲であっても、そこにいかにオリジナリティーを入れるか、いかに違うことをやるかということを意識しながら開発に携わっているっていうことをおっしゃっていました。その意気込みというのは、今振り返ってみて、どこまで実現したかと思っていらっしゃるかということと、あと、そういったオリジナリティーというのをこれからの宇宙探査で生かしていくために何が必要と思われるかということを教えてください。 津田:これはどんな仕事でもそうだと思うんですけども、自分が誇りを持ってやれるというポイントがないとモチベーションって湧かないと思うんですね。それをチームメンバーにどうやって持ってもらうかという観点が1つありました。それにはオリジナリティーを発揮する自由度を、プロジェクトメンバーというか、開発員が持つことが重要で、そこでの創意工夫があったからこのミッションは成功したんだって、あとから言える状態をつくるのが強い、成功するミッションになるんではというふうに思ったからです。踏襲だけやりなさいと言われてつくるんだと、これはやるほうは面白くないですよね。なので、そこのバランスがすごく私自身は気を使ったところです。 過去の資料、あるいは「はやぶさ」1号機の経験とかを見てると、これはもうどうなってるか分からないけども、これを、この設計を逸脱するわけにはいかないとか、変えるわけにはいかないっていうところがいっぱいあって、こういうところは、もう先人たちがずっと積み上げたものだから守んなきゃいけないっていうふうに思う思いも一方であって、このバランスを取りながらやるっていうのは、そこに何を、どこをバランスを取っていいんだろうかっていうのを、いろんな先輩方に聞きながらオリジナリティーとのバランスを取ってきたつもりがあります。