「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文5)はやぶさ2は“持っていた”
雰囲気醸成のために心を砕いたことは
ニッポン放送:ニッポン放送の畑中と申します。このたびはおめでとうございました。きのう、今日の2日間、ずっとわれわれ、モニターで管制室の様子を見させていただきました。これはあくまで私の私見なんですけれども、管制室の雰囲気というものは、画面を見る限りでは緊張感は伝わってきたんですが、その中で会話ですとか指示の端々に、どこか気心の知れたチームワークの良さというものを感じた次第です。 津田さんに伺いますけれども、このチームワークですとかこの雰囲気、今までおっしゃってたような、チームワークってこういうものなのかなと私は感じたんですが、そのチームワーク、雰囲気を醸成するために心を砕かれたことをあらためて伺いたいと思います。あと、國中所長には、津田さんをリーダーとするこの雰囲気というものはJAXA伝統のものなのか、ISAS伝統のものなのか、あるいはご自身のときに比べて何か新しいものをお感じになったのか、その辺りをお聞かせください。 津田:じゃあまずチームワークについてですけども、はい、確かに今回のリエントリー運用のところも非常にチームワークをいい状態で進められたと思ってますし、いい雰囲気でやってました。これはもう、やっぱり近傍フェーズを乗り越えて、もういろんな難しいことを乗り越えたチームだから、ああいう雰囲気で、ただ、締めるべきところは締めてやれたんだと思います。
探査機運用班には厳しい方法を指導
私はこういう雰囲気というか、チームをイメージしてずっとマネジメントをやってきたつもりがあります。これは、やっぱり探査機ってすごく難しい、操作が難しいもので、私も、誰も、誰1人として全てを理解してるわけではなくて、部分部分が詳しいと、あるいは全体を広く、でも深くはなく詳しいという状態のメンバーがたくさん集まってるんです。そういうメンバーでこういう難しいミッションをやっていくときには、やっぱりチームメンバーのコミュニケーションが重要で、かつ、もう相手のことを考えながら、で、自分のやるべきベストを尽くす、で、安心してベストを尽くせる、怖がらずにすごい提案をできるとか、責任を負い過ぎずに、でもすごいことをやりたいと思うとか、こういう雰囲気が必要で、そのためには直接的にこれをああしろ、あれをこうしろではなくて、チームからこういうことをやるべきだという提案が上がってくるような、自発的なチームづくりっていうのが重要だと感じました。 これは宇宙研のいろんなミッションを見ても、うまくいってるときっていうのは、そういうのがすごく発揮されていたというふうに思います。それを私は心掛けてやってきて、幸い、「はやぶさ2」は本当にメンバーが良くて、それがうまくいったなというふうに思ってます。 ニッポン放送:所長、いかがでしょうか。 國中:いや、僕はちょっと違う。いや、ちょっと仲良しクラブじゃないので、これはわれわれの仕事でありますから、緊張関係を持ち、敵対関係があり、対峙の関係があって緊張関係を醸成して、それから互いにクリティサイズする方法でもって、きちっと仕事はやるべきだと思います。僕は、そういう意味ではあまり賛成ではありません。だからこそ私はあえて探査機運用班については厳しい方法を指導したつもりですし、第2回目の着陸の是否については問うたつもりですし、いや、私は2回目の着陸は、絶対やるなという意味ではなくて、やるのであればぎっちりその証拠を見せろというふうに言ったまでです。ですからちょっと。