【独占】堀口恭司が語る衝撃の朝倉海168秒TKO劇の真実「試合後の控室で海君は僕に言った…」
大晦日に開催された総合格闘技イベント「RIZIN.26」で朝倉海(27、トライフォース赤坂)を168秒TKOで破りリベンジを果たしRIZINバンタム級王者に返り咲いた堀口恭司(30、ATT)が6日、THEPAGEの独占ロングインタビューに答え「カーフキック」を使った理由から試合後の朝倉兄弟との控室でのやりとりまで感動と衝撃の168秒のすべてを語った。
2発目のカーフキックで勝利を確信
堀口の声はまだかすれていた。 「コロナじゃないっすよ(笑)。風邪です」 リング上で勝利の雄叫びを続けたせいだけでなく、12月上旬に練習拠点のある米国・フロリダから帰国した際、日米の気候の違いから喉をやられていたという。 感動と衝撃の168秒。すでに「何度か見返した」という試合映像を一緒に見ながら「生解説」をしてもらった。 リングに上がった堀口は右膝にサポーターもテーピングもしていなかった。2019年11月に右膝の前十字靭帯と半月板の大手術を行い、長いリハビリを経て、前哨戦を挟まずに復帰戦、即、因縁のリベンジ戦である。その剥き出しの膝に“オレは100%のコンディションで帰ってきた”の意思表示を感じたが、堀口は笑って否定した。 「しなくても余裕。まったく問題がなかったんですよ」 両者はレフェリーを挟んで対峙した。試合の注意事項を聞いた後に、互いにグローブを合わせ、次の瞬間、堀口は両手で朝倉海の肩をポンポンと軽く触った。 「遅くなって、ごめんね」のメッセ―ジをこめた行動だったという。 本来ならば1年前の大晦日に行うはずだった再戦が、堀口の手術で1年4か月も待たせることになったからだ。 「でもキョトンとしていたので伝わっていなかったのかもしれませんね」 緊迫感の漂う中でゴング。両者は互いに距離をとり出方をうかがった。実は、堀口は「いつもよりちょっと近い距離で自分からプレスかけてつめたんです」という。遠い距離からの高速のステップインが堀口の持ち味だが、確かにいつもよりも間合いは近かった。 ――なぜですか? 「海君は、こちらが飛び込んでくることに対してのカウンターしか狙っていませんでした。パンチしか考えていない。だから、いつもの距離よりも詰めて、プレッシャーをかけて蹴って、プレッシャーをかけて蹴って、という作戦だったんです。相手の注意を散漫にして向こうが出てきたら、こちらにもカウンターがあるぞ、とフェイントをかけて見せる。それが作戦の始まりでした」 目に見えない空間の奪い合いから堀口は主導権を握ろうとしていた。 ファーストコンタクトは堀口が右足で朝倉海の左足のふくらはぎを狙ったカーフキック。朝倉海は、その一撃でバランスを崩した。堀口は、パンチのフェイントをまじえながら、さらにプレスをかけて、朝倉海をロープ際に下がらせて、2発目のカーフをお見舞いした。左膝から10センチほど下の箇所だ。 開始47秒。 堀口は、この時点で勝利を確信したという。 「カーフは思い切り食らったら一発で効いてしまうんです。一発目は足が流れたんですが、効いてんだなと思ったんです。勝利を確信したのは、2発目くらいですかね。明らかに動きが悪くなった。効いているのはすぐにわかりました。表情にも出ていたんです」 朝倉海は、蹴りを返してきたが、バックステップでいなすと堀口は3発目のカーフをヒットさせた。朝倉海は勢い余ってマットに手をつき、ふくらはぎはもう変色していた。 「よし入った、よし入ったって感じですね。かなり効いてきたなと」