【独占】堀口恭司が語る衝撃の朝倉海168秒TKO劇の真実「試合後の控室で海君は僕に言った…」
状況を打破しようと朝倉海が左のジャブ、右のストレートと攻撃に転じてくるが、これはバックステップで外した。堀口はすぐさま4発目のカーフを狙うが、これは距離が遠く空振りとなって、クルっと一回転。背中を向ける形になった。一瞬見せた隙。朝倉海は、ここぞとばかりに右のストレートを繰り出したが、堀口は頭を下げてパンチに空を切らせた。 「回転しながらも動きは見ていました。パンチは見えていたんで。余裕です」 ――あそこで大振りでなく至近距離からショートパンチを打たれていたら? 「いや、それができないようにしていたんです。近くに入ってこれないように、カウンターがあるぞ、あるぞ、とずっと右を見せていました。それが抑止力になったんです」 ここで堀口は朝倉海の右手を取って寝技に引き込もうとした。 68秒でTKO負けを喫した前回の試合を含めて、初めて両者が組んだ場面だった。 「寝技でも勝てると思っていたので引き込んで倒しに行ったんです」 ――朝倉海のつかむ力はどうでしたか? 「なかったです」 堀口はここで寝技プランを封印したという。 「寝技をやんなくてもいいなと思いました。カーフも決まっているので」 そして勝負を決定づける伏線となった4発目のカーフである。 完全に左足のふくらはぎを破壊した。朝倉海は痛さに耐えきれず思わず生き残った片足でケンケンしなければ立っていられないほどの決定的ダメージを与えた。勝負を決するチャンスである。だが、そこにセコンドの声がハッキリと聞こえた。 フロリダから駆けつけてくれた“参謀”のマイク・ブラウン・トレーナーが「ペイシェント(我慢しろ)!」と叫び、亡くなった伝統空手の恩師、二瓶弘宇氏の次男、竜宇氏は、「落ち着いて!焦るな!」と声をあげた。 「セコンドから、焦るな、まだいいからと。ダメージってパンチを顔面に受けた場合のものは時間の経過と共にすぐに引くんです。その場合は、回復の時間を与えてはいけないのですが、足のダメージは引かないんですよ。ずっと痛いまま。足があれだけ効いてしまうと、もう何もしようがないんです。だから、ここで焦っても仕方がないと」 堀口はフィニッシュの仕方に頭を巡らせていた。 「自分から仕掛けていこうとも考えていました。カーフもあるし、なんでもあるなと。カーフを嫌がっていたので、カーフと見せかけての違う技でも」 逆に仕掛けてきたのは朝倉海だった。起死回生をかけての飛び膝蹴りである。 だが、それも堀口は読んでいた。そこに右のカウンターのストレートを一発。朝倉海がよろける。続けざまに右のフックを2発。背中からリングに落ちると、パウンドの嵐を浴びせてレフェリーが試合をストップした。 「右のカウンターです。海君は動けないから、もうそれしか手がないと思っていました」