【独占】堀口恭司が語る衝撃の朝倉海168秒TKO劇の真実「試合後の控室で海君は僕に言った…」
堀口は小さく飛び上がり喜びを爆発させた。 「ウォー!」 絶叫につぐ絶叫。マウスピースを会場に投げ入れ、ファンに向かって雄叫びを上げた。 ――あそこまで叫び続けるのは初めてでは? 「一回負けて、朝倉兄弟もそうですが、(怪我のブランクもあって)周りも向こうが勝つと言っていました。この野郎見ていろ、なめんじゃねえぞ、という気持ちが出てしまいました」。 テレビ画面にはブラウン・トレーナーと二瓶竜宇氏に向かって「イージーファイト!」と叫んだ声と共に映像が映し出されていた。 「イージー・ファイト!」を直訳すれば「簡単な試合だった」となるため、ネット上は「相手にリスペクトがない」、「強かったが、この発言にはガッカリ」などとの批判が飛び交い炎上した。堀口は、「めっちゃ叩かれましたね」と笑いながら、その真意を説明した。 「マイク・ブラウンと自分だけにわかることなんです。『やったぞ!怪我があっても全然いけるんだよ!』っていうことを彼に伝えたんです。一種のスラングというか、海外のファイターは、けっこう使う言葉なんです。でもネットで何を書かれようが関係ないっす。人の受け取りよう。僕の心の声は通じるわけはないんでね」 「英語は喋れない」と、いつも謙虚に言う堀口だが、かれこれ5年も米国暮らしを続けているので、ヒアリングはほとんどOKだし、こういうときには、自然と英語が口をつく。 そして、実は、このセコンドへ「やったぞ!」と絶叫した言葉にこそ、堀口を支えてきた“チーム堀口”という仲間への「信頼と絆」が凝縮されていた。 「入場ゲートに立ったときも、普段通り。不安も何も怖いものはありませんでした。セコンドを信じているし自分を信じている。よし、ぶっとばすか、という感じです」 ――なぜいつもそういうメンタルを作れるのですか? 「いい練習環境があり、信頼できる人たちがそばにいるからでしょう。信頼できるパートナーがいると、よりこの人たちに見せなきゃと思い強くなれた。5年前に言葉もわかんない中、フロリダのアメリカントップチームにいき、強豪がそろう中で、そこに住み込んで練習した。普通は泣きを入れますよ。鈍感でなければ生きていけません。でも、みんなが支えてくれて強くなった」 今回は、帰国後、2週間の隔離というハンデもあった。それをカバーしてくれたのが、父が用意してくれた大晦日決戦用の手作りのジムだという。 「1週間は時差ボケをとり、その後は自宅で体を動かし隔離期間が解除されてから最後はオヤジが作ってくれた小さいジムで調整しました。自宅近くの1室を改造してマットを敷いたものなんですが、親がそこまでやってくれて負けるわけにはいきません」 その父の手作りジムでブラウン・トレーナー、二瓶兄弟を相手に対朝倉海戦のシミュレーションを繰り返した。 「皆さんのおかげです」 ――朝倉海とのリベンジ戦に勝たねばならない理由のひとつに前回の敗戦で悲しませた人たちの笑顔を見たいと言っていましたね。 「両親も一期倶楽部(群馬足利の恩師の空手道場)の人たちも、みんな喜んでくれていましたね。“よくやった!あの調子に乗っている兄弟をよくぞ、ぶっとばした”というのが、一番多い声でした(笑)。でも、ここから先があります」 リングを周って絶叫を終えた堀口は、両手をつき苦しんでいる朝倉海のもとに駆け寄り、「ありがとうね」と声をかけた。「痛え」とうめいた朝倉海は何も答えなかった。 堀口はバックステージでもう一度、朝倉兄弟の控室を挨拶に訪れた。 すると朝倉海から「堀口さん、もう一回やって下さい」と再戦を直接、直訴されたという。