なぜ堀口恭司は必殺の「カーフキック」を使い朝倉海にリベンジを果たすことができたのか?
総合格闘技イベント「RIZIN.26」(31日・さいたまスーパーアリーナ)のメインカードでRIZINバンタム級タイトルマッチが行われ、堀口恭司(30、ATT)が、王者の朝倉海(27、トライフォース赤坂)を1回2分48秒、至近距離からの右フック2発からパウンドで追い込みTKO勝利。501日ぶりにリベンジを果たして返上していたベルトを奪回した。昨年8月にTKO負けを喫していた堀口は、右膝前十字靭帯、半月板の手術を経て、復帰戦即タイトル戦となったが、ブランクをものともせず朝倉兄弟の戦略を上回る戦術で実力の違いを見せつけた。RIZINは、3月14日に東京ドーム大会を開催予定だが、次は、返上したベラトールのバンタム級ベルトを持つファン・アーチュレッタ(33、米国)がターゲットとなる。
堀口が張った殺戮の罠
容赦なくふくらはぎを“狩り”にいった。 堀口の4発目のカーフキックが、朝倉海の左足の膝の横からふくらはぎのあたりをとらえた。朝倉は、顔をゆがめ、思わず右足一本でケンケンしなければ立っていられないほどのダメージを負う。足をひきずり通常のステップが踏めなくなった。左足を後ろに引き、神経はカーフキックを避けることにだけ注がれた。左足が使いものにならないと判断した朝倉海は、起死回生の飛び膝蹴りに打って出た。 だが、そこに堀口の殺戮の罠が待っていた。右のストレートをカウンターでぶちかますと、戦意が薄れはじめた朝倉海へ至近距離から右フックを2発。倒れた朝倉にパウンドを浴びせて、仕留めにいくと、レフェリーが間に入って試合をストップした。 堀口はリングをグルグル回りながら勝利の雄叫びを上げた。 それは、敗者の汚名を着せられたまま過ごした501日から解放された心の声だった。 「皆さん、長い間、怪我とか、負けたりした僕を待ってもらってありがとうございます。今コロナで大変な時期だと思いますが、しっかりとやることやっていれば、こうやって結果を残せます。いいことはあると思う。みんなも頑張って下さい。やっと取り戻しました。自分を信じて、チームを信じて結果を残せてよかったと思います」 場内インタビューの声が枯れてしまうほど堀口は叫び続けていた。 朝倉海は、頭を抱え四つん這いになったまましばらく動けなかった。完全に左足を破壊されてしまっていた。 「印象はそんなに変わらないですけど完全に足に効かされたので、それが一番の敗因でした。パンチを効かされたわけではなく、踏ん張りが効かなかった」 インタビュールームでは冷静に敗戦を振り返った。