博多ラーメンや長浜ラーメンなど、豚骨ラーメンの聖地としても知られる福岡博多。福岡でラーメンと言えば豚骨。白濁した豚骨スープに加水率の低い細麺の組み合わせは、福岡市民や博多っ子にとって幼い頃から慣れ親しんだ言わばソウルフードのようなものだ。

　しかしながらここ数年、福岡では醤油ラーメンや豚骨醤油ラーメン、そして創作ラーメンを出す店が激増している。「非豚骨」「脱豚骨」と呼ばれる新たなトレンドが生まれており、2021年にオープンした新店では非豚骨ラーメン店の開業数が豚骨ラーメン店の開業数を上回った。

　「非豚骨」のトレンドは今年に入っても止まることを知らない。そこで今回は、今年福岡にオープンしたばかりの「非豚骨」ラーメン店の中から、今食べておくべきラーメン店を厳選してご紹介しよう。いずれも新店とは思えない実力派ばかりだ。

知覧鶏の旨味と九州醤油の甘味『もやい』

　福岡市南区五十川の閑静な住宅街の一角に、2022年6月オープンしたばかりの新店が『もやい』（福岡県福岡市南区五十川1-15-4）。こちらは薬院の人気焼鳥店『ゆるり』が手掛けるラーメン専門店。仕込み場だった場所を改装し、白壁と木の質感を生かした洒脱な雰囲気の店となっている。

　「新博多醤油そば」と銘打たれた一杯は、知覧鶏の清湯スープに九州醤油が効いた味わいで表面には背脂も浮く。さらに注文を受けてから削った鰹節を丼の底に沈めるひと工夫も。具材は燻製した黒豚チャーシューと知覧鶏のハム。笹掻きゴボウの素揚げやわさび菜が食感や味のアクセントに。さらに別皿の初摘み海苔、ネギ、ドライトマトを後半で投入すると味の変化も楽しめる。細部にまで神経が行き届いている、緻密な設計のラーメンだ。

濃厚煮干スープと自家製麺『中華そば 栄』

　地下鉄「赤坂」駅から程近い場所に、2022年8月オープンした店が『中華そば 栄』（福岡県福岡市中央区大名2-11-16）。こちらは渡辺通のうどん居酒屋『うどん 栄』によるラーメン専門店。これまで支店だった場所をラーメン店にリニューアルした。

　うどん店が手掛けるラーメン店だけあって、麺はもちろん自家製麺。道産小麦と筑後小麦をブレンドした自家製平打ち麺は、ツルツルもちもちとした食感が心地良い。自慢の麺を受け止めるスープは、豚骨、鶏ガラに九十九里煮干、魚節に昆布を合わせた和のテイスト。有明海苔や糸島ネギなど九州産の食材も積極的に使用している。濃厚で存在感がありながらも、しつこさのない優しい後口に仕上がっている。

繊細な塩ラーメンにワンタン『らぁ麺六六』

　学生の街、七隈に2022年8月オープンした店が『らぁ麺六六』（福岡県福岡市城南区七隈4-9-1）。地下鉄『七隈』駅から歩いてすぐ、福岡大学にも近い場所にあり、周辺にはラーメン店も多い言わば激戦区。暖簾や垂れ幕など白を基調にした落ち着いた作りの店舗で、洒脱な佇まいが目を引く。

　看板メニューの『塩らぁ麺』は、繊細な味わいの澄明なスープに、しなやかな食感の自家製細麺の組み合わせ。そこにピロピロとした食感が軽やかなワンタンが乗る。具材は別皿で出て来るので、最初は麺とスープの調和をストレートに楽しんで、後から自分好みのバランスにカスタマイズする楽しさがある。

　今回ご紹介した３軒は、いずれもオープンして間もない新店ながら、クオリティの高いラーメンを提供する店ばかり。博多ラーメンとは違った、新たな福岡のラーメンを体感する上で欠かせない店ばかりなので、ぜひとも足を運んで頂きたい。

※写真は筆者によるものです。

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