福岡民に愛されるラーメン居酒屋を回ろう

　福岡は戦後から屋台が愛されてきた街だ。1970年代の最盛期には400軒以上もの屋台が軒を連ねていた福岡。現在は天神、中洲エリアを中心に100軒以上の屋台が元気に営業している。地元民はもちろん、出張のサラリーマンや観光客などが同じ屋台で酒を酌み交わすうちに仲良くなる。これこそ屋台の醍醐味と言っても良いだろう。

　屋台は楽しそう。しかしいきなり屋台デビューは緊張してしまい、ちょっとハードルが高い。そう感じている人にオススメなのが、屋台スタイルで営業している居酒屋やラーメン店だ。屋台が別に店舗を構えていたり、屋台出身の人が独立したりとその経緯は様々だが、屋台初心者でも気軽に屋台気分を満喫出来るはず。前回は入門編として３軒ご紹介したが、今回は観光客よりも地元福岡の人たちが多い「地域密着」の人気店を厳選した。

長浜屋台の雰囲気を残す『一心亭本店』

　創業は1945（昭和20）年と、福岡でも有数の老舗が『長浜屋台 一心亭本店』（福岡市中央区長浜1-4-22）。2021年に看板や内装をリニューアルして、明るい雰囲気に一新。店内には屋台を彷彿とさせるコーナーなども出来て、今まで以上に長浜屋台の気分を楽しめるようになった。家族連れ客なども多く、地元密着で愛されているのが伺える。

　人気のラーメンは比較的ライトな味わいの長浜ラーメンの中でも、しっかりと乳化した濃度あるスープが特徴的で、豚頭や豚足を長時間しっかりと炊いた深みのある味わいのスープに、独特な食感を持つ低加水の細ストレート麺が合わせられている。ラーメン以外にも「おでん」や「とん足」「酢もつ」など屋台定番のメニューも並ぶ。

地元民の絶大な支持を受ける『長浜御殿』

　1971（昭和46）年の創業以来、地元福岡の人に愛されている人気店が『長浜御殿』（本店：福岡県福岡市城南区長尾1-10-11）。元は長浜で屋台として人気を博していたが、その後路面店を展開して屋台を閉め、現在は市内に５店舗を構えている。福岡の人は居酒屋のように使っている地域密着型の店だ。

　ラーメンと餃子が創業当初からの看板メニューだが、人気の「骨付カルビ」や「酢もつ」「おでん」など屋台時代のメニューも健在。ラーメンは程よい豚骨の濃度を持ちながらも、油分は高くなくしつこさがない味わい。やや柔めに上げられた細ストレート麺との相性も抜群。サッパリとした後口は深夜に飲んだ締めにもピッタリだ。

屋台気分を満喫出来る『KENZO Cafe』

　山笠で知られる『櫛田神社』の南神門近くにある細長い路地は、数々の飲食店が軒を連ねる「グルメストリート」。その通りにある人気の居酒屋が『KENZO Cafe』（福岡県福岡市博多区上川端町2-16）。中洲の屋台として人気を博し、現在は路面店として屋台時代と変わらぬ味と雰囲気で営業している。

　ラーメンや串焼き、鉄板料理など必食のメニューは数あれど、この店で絶対に欠かせない逸品が「博多焼きラーメン」。博多ならではの低加水細麺と地元九州産の野菜を豚骨スープとオリジナルのタレで香ばしく焼き上げたもの。味や食感のアクセントとして、生卵とベビースターラーメンが乗るのもKENZO流。一度食べたらハマること間違いなし。

　今回ご紹介した店は、いずれも福岡の屋台文化を気軽に楽しむことが出来る人気店ばかり。美味しい料理とお酒、そしてラーメンで締める流れをつかんだら、自信を持って屋台デビューして欲しい。

※写真は筆者によるものです。

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