戦後から屋台文化が根付く福岡

　福岡は戦後から屋台が愛されてきた街だ。1970年代の最盛期には400軒以上もの屋台が軒を連ねていた福岡。現在は天神、中洲エリアを中心に100軒以上の屋台が元気に営業している。地元民はもちろん、出張のサラリーマンや観光客などが同じ屋台で酒を酌み交わすうちに仲良くなる。これこそ屋台の醍醐味と言っても良いだろう。

　屋台は楽しそう。しかしいきなり屋台デビューは緊張してしまい、ちょっとハードルが高い。そう感じている人にオススメなのが、屋台スタイルで営業している居酒屋やラーメン店だ。屋台が別に店舗を構えていたり、屋台出身の人が独立したりとその経緯は様々だが、屋台初心者でも気軽に屋台気分を満喫出来る店を厳選した。

屋台文化を継承する人気店『やまちゃん』

　長浜での屋台の創業は1986（昭和61）年と、36年にわたり愛されている店が『やまちゃん』だ。屋台は2014年に惜しまれつつも閉店してしまったが、1992年に長浜から程近い舞鶴に開業した「天神店」（福岡県福岡市中央区舞鶴1-4-31）や、2011年に開業した「中洲店」（福岡県福岡市博多区中洲2-4-18）で、今も屋台と変わらぬ味を楽しむことが出来る。

　ラーメンは長浜の屋台ラーメンらしくライトで飽きの来ない味わい。屋台の雰囲気を残すカウンターには鉄板もあり、ラーメン以外のメニューの多さは群を抜く。福岡ならではの串焼き「豚バラ」や、鉄板を使った炒め物などを色々と楽しんでいると、お腹いっぱいでラーメンにまで辿り着けないことも。2002年には東京銀座にも進出（銀座店：東京都中央区銀座3-11-10）しているので、東京でも福岡の屋台気分を満喫することが出来る。

天神の人気屋台が営む居酒屋『屋台おかもと』

　天神エリアの南、渡辺通沿いで長い行列を作る人気屋台『屋台おかもと』（福岡県福岡市中央区渡辺通４丁目 BiVi福岡前）。そこが営む居酒屋が『屋台おかもと 川端居酒屋店』（福岡県福岡市博多区上川端町9-154）。2021年に中洲から川端商店街に移転したばかりだが、移転前と変わらぬ人気を集めている。

　ラーメンは臭みのない豚骨醤油スープに歯切れ良い細麺がマッチした逸品。やや甘味のあるスープはついつい後をひく。屋台メニューでは牛タンやサガリステーキなど、肉類メニューが充実しているのが『おかもと』の特徴。元々中華の流れを汲む店だけに、中華メニューも本格的なものばかり。店内には屋台を模したカウンター席もあるので、屋台気分がより高まること間違いなしだ。

行列が絶えない人気店『ShinShin』

　地元客はもちろん、観光客や外国人観光客にも絶大なる支持を受けている人気ラーメン店が、2003（平成15）年創業の『Shin Shin（しんしん）』（天神本店：福岡市中央区天神3-2-19）。現在では福岡市内に５店舗、北九州市に１店舗を構えている。店主は人気屋台で長年経験を積んで独立しているので、屋台メニューに力を入れている店だ。

　ラーメンは豚骨と鶏ガラを丁寧に炊いたスープに、福岡でも類を見ない極細麺を合わせたもの。一般的に福岡のラーメン店のメニューはラーメンに餃子、焼飯といたってシンプルだが、『ShinShin』ではラーメンはもちろん、ちゃんぽんや焼きラーメン、串焼きに炒め物、おつまみなどが豊富に揃う。昼は一人でラーメンをサクッとと食べ、夜は友人と酒を酌み交わすなど、人それぞれ思い思いの楽しみ方が出来る店だ。

　今回ご紹介した店は、いずれも福岡の屋台文化を気軽に楽しむことが出来る人気店ばかり。美味しい料理とお酒、そしてラーメンで締める流れをつかんだら、自信を持って屋台デビューして欲しい。

※写真は筆者によるものです。

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