今絶対に食べておくべき 福岡の豚骨ラーメン「郷愁派」3軒
懐かしいのに新しいネオノスタルジックラーメン
ここ数年「ネオノスタルジック」なラーメンに注目が集まっている。古き良き昔ながらの懐かしい味わいのラーメンを新たに再構築した「ネオノス系」のラーメンは、オールドファンには懐かしさを感じさせ、若い世代には今までにはない新しい味として受け入れられている。
豚骨ラーメンの街、福岡でも「ネオノス系」の豚骨ラーメンが増殖している。昔ながらのシンプルなビジュアルでありながら、その味わいには奥深さがある。懐かしさと新しさが共存する、福岡ネオノスタルジックラーメン。今食べるべき注目の店を厳選してご紹介しよう。
呼び戻し製法の深みあるスープ『ラーメン味ほ』(2019年創業)
博多駅から徒歩10分。厄除で知られる若八幡宮に程近い場所に佇む小さなラーメン店が『ラーメン味ほ』(福岡県福岡市博多区博多駅前1-29-49)だ。アパレル業界からラーメンの世界に転身した店主が、大好きな味だった『ラーメン味心』(福岡市)で修業を積んで、2019年に創業した。
豚のゲンコツ、頭骨、背ガラなどを香味野菜と共にじっくりと炊き上げて、『呼び戻し』の製法で継ぎ足しながら仕上げるスープは、前日のスープに新しい骨を足して作ることで日を追うごとに旨味が重なる。醤油ダレがキリリと立った、深い旨味にあふれているノスタルジックな博多ラーメンだ。
背脂の甘み広がる一杯『らーめん 陽八』(2019年創業)
福岡市と春日市の境に近い南福岡の住宅街に、ひっそりと佇む店が『らーめん 陽八』(福岡県福岡市博多区寿町3-2-1)。『太宰府 八ちゃんラーメン』の流れを汲む久留米の『らーめん八』で本格的にラーメン修業に入った若き店主が、4年間の修業を経て2019年に創業した。
店主一人で仕込んでいるため、メニューはシンプルにラーメンと餃子、そして焼飯、ご飯のみ。ノスタルジックな豚骨ラーメンをブラッシュアップさせた一杯は、豚のゲンコツだけをじっくりと炊き上げて骨の旨味を抽出したスープに、甘みのある背脂を足すことでシンプルながらも奥深い味わいになっている。
独学で作り上げた懐かしの味『らぁめん39番地』(2021年開業)
博多旧市街の中心地でもあった、下呉服町の住宅街に2021年オープンした店が『らぁめん39番地』(福岡県福岡市博多区下呉服町6-7-1)。2007年に福岡市南区大橋で創業し、14年の営業を経て移転リニューアルしたばかりだが、早くも地元の人たちを中心にリピートを生む人気店となっている。
ラーメン作りは教わったことがなくすべてが独学。長年の試行錯誤の繰り返しからたどり着いた一杯は、豚骨の他に鶏ガラを入れるのが特徴。豚だけではなく鶏の旨味も加わることで、従来の博多ラーメンにはない旨味の層を生み出した。独学だからこそ生まれた奇跡のネオノスタルジックラーメンなのだ。
昨今、福岡には革新的なラーメンを出す店が増えており、純然たる豚骨ラーメンを出す新店が減りつつある。そんな中で、古き良き豚骨ラーメンの魂をしっかりと受け継いでいる、福岡のネオノスタルジックラーメンたちの存在価値は大きい。
※写真は筆者によるものです。
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