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HDLコレステロールが低いと言われたら?食事と運動のポイントを管理栄養士が解説

成松由佳管理栄養士

こんにちは。管理栄養士の成松由佳です。

過去4回にわたって、健康診断の結果を食事や運動で改善するポイントを紹介してきました。

第5弾の今回は「HDLコレステロール
いわゆる善玉コレステロールについて解説します。

他と異なる大きな特徴は、低いことが問題になる項目であること。

低いことで起こる将来のリスクや、改善のポイントを、人間ドックでの勤務経験のある管理栄養士が紹介します。

HDLコレステロールってそもそも何?低いのはいくつから?

HDLコレステロールは血液中の脂質のひとつで、体内で増えすぎたコレステロールを回収する働きがあります。
前回紹介したLDLコレステロール(悪玉コレステロール)は血管の壁にたまり動脈硬化を引き起こすのに対し、HDLコレステロールは血管壁のコレステロールを取り除く働きがあるため、動脈硬化を抑制する方向に働きます。HDLコレステロールが「善玉」と呼ばれるのはこのためです。

出典:イラストAC
出典:イラストAC

HDLコレステロールが40mg/dL未満で「低HDLコレステロール血症」とされます。HDLコレステロールが低いと、動脈硬化によって起こる心筋梗塞や狭心症、脳梗塞のリスクが高まります

HDLコレステロールを食事で改善するには?

HDLコレステロールは、今まで紹介してきた他の検査項目に比べ、食事との関連が小さいことが知られています。とはいえ、動脈硬化を予防するには食事の対策も必要です。

中性脂肪が高いと、HDLコレステロールは低くなる逆相関」の関係が知られています。中性脂肪を下げる食事のとり方を心がけることで、HDLコレステロールも改善が見込めます。

中性脂肪についてはこちらの記事をご覧いただきたいのですが、ここではHDLコレステロール改善のためにも大切な項目を2つご紹介します。

※通院治療中の方は、主治医や管理栄養士の指示に従ってください。

適切なエネルギー量をとる

摂取エネルギー(食べ物からとるカロリー)が消費エネルギーより多いと、余った分が体内で中性脂肪に変換されます。

摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスは、体重の変化で分かります。
体重が増えている場合は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っている状態です。腹八分目を心がけ、食べすぎや飲みすぎを控えましょう。

また、肥満の人は3~6ヶ月かけて3%の体重を減らすことが推奨されます。この場合も摂取エネルギーを減らし、減量を目指しましょう。

糖質(炭水化物)のとりすぎを控える

糖質をとり過ぎると、中性脂肪が上がりやすいことが知られています。ご飯や麺類の大盛りは避け、糖質の適量摂取を心がけましょう

とはいっても、過度な糖質制限は必要ありません。1日に必要なエネルギーの半分程度は糖質からとることが推奨されています
摂取量は体格や活動量によって異なりますが、ご飯・パン・麺などの主食を、1食あたり握りこぶし1個分とするのがおすすめです。

主食を減らした分おかずを増やすケースが見受けられますが、それは避けましょう。特に肉類のとりすぎによって、LDLコレステロールが上昇する恐れがあります。また、塩分のとりすぎによる血圧上昇も懸念されます。

血圧LDLコレステロールについては、それぞれの記事をご覧ください。

コレステロール改善に適した運動は?

HDLコレステロールを改善するには、有酸素運動が効果的です。1週間に120分以上の有酸素運動によって、HDLコレステロールが上昇することが知られています。

コレステロール・中性脂肪の改善に向けた運動の目安は

・「楽である」~「ややきつい」と感じる中強度の有酸素運動
・1日合計30分以上
・週3日以上(可能であれば毎日)

実施することです。

ウォーキングや速歩、水泳、サイクリングなど、自分に合った種類の運動を取り入れてみましょう。
また、日常生活で座ったままの時間を減らすよう工夫することも大切です。こまめに歩く、エレベーターではなく階段を使う、買い物や洗濯・掃除などの家事を利用して動くなどの工夫がおすすめです。

※血圧・血糖で治療中では運動不可の場合もあるため、主治医に確認した上で実施してください。

【参考】

一般社団法人日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

管理栄養士

大学卒業後、管理栄養士資格を取得。大学院修士課程修了後、製薬メーカーでの勤務を経て、栄養指導に従事。自身も食事改善によって長年悩んでいた便秘や肌荒れを克服。現在はフリーランスとして主にWebライターとして活動。研究経験により身につけた科学的根拠のリサーチ力と、栄養相談にて生活に寄り添った提案をしてきた経験を活かし、食事に悩む時間や精神的なストレスを減らせるよう情報提供している。

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