オリーブオイルが体にいいのはなぜ?期待される効果と意外な落とし穴を解説
ヘルシーなイメージのある「オリーブオイル」。健康に良いとされる理由について、あなたは知っていますか?地中海食の中心的な存在として健康効果に注目されたオリーブオイルですが、実は摂取時には注意すべき点もあるのです。
本記事では、オリーブオイルの期待される健康効果と、意外な落とし穴について詳しく解説します。正しい知識を持って、オリーブオイルを上手に活用し、健康的な生活を楽しんでいきましょう。
オリーブオイルに含まれる成分の健康効果は?
オリーブオイルには「オレイン酸」という脂肪酸が豊富に含まれています。オレイン酸は、動物性の脂質に含まれる「飽和脂肪酸」とは異なり、血中のLDL(悪玉)コレステロールを上昇させにくいことが知られています。
LDLコレステロールは血管の壁にたまりやすい性質を持つため、多くなると血管が詰まりやすくなり、動脈硬化や心疾患のリスクが高まります。
ただし、この効果はオレイン酸だけでなく、「不飽和脂肪酸」に分類される脂質全般に共通するものです。一般的な植物油や、魚の脂質にも同様の作用があります。したがって、オリーブオイルだけが特別なわけではないことは知っておくとよいでしょう。
オリーブオイル特有の成分としては、「オレオカンタール」という苦味や渋味、辛味を持つ成分があります。交感神経系を活性化して血流を良くしたり、脂肪の分解を助ける作用があるとされています。また、抗菌作用を持つ「オレウロペイン」も含まれています。
オリーブオイルのカロリーは?とりすぎには注意!
オリーブオイルは、1gあたり9kcalのエネルギーを持ちます。
実は油は種類に関わらず、どれも同じカロリーです。とりすぎると体重増加の原因となるため、量には注意して使用しましょう。
ちなみにこれは、あまに油やえごま油、MCTオイルなど、他の健康に良いといわれる油でも同様です。たくさんとって良い油はありません。摂取量を増やすのではなく、他の油と置き換えて使用するのがよいでしょう。
オリーブオイルが注目された理由は?地中海食の健康効果
オリーブオイルが話題になった背景には、地中海食の健康効果があります。
地中海食とは、地中海沿岸で食べられている伝統的な食事のスタイルです。このスタイルに近い食事をとっている人ほど、生活習慣病や心筋梗塞、脳卒中などの病気のリスクが少なく知られています。
この食事法にオリーブオイルが使われていたことから、オリーブオイルの健康効果に注目されるようになりました。
しかし、地中海食の特徴はこれだけではありません。魚・野菜・豆類を多く摂取すること、肉類やお菓子・スイーツの摂取が少ないことも大きな特徴です。地中海食の健康効果には、これらの要素も大きく影響していると考えられます。
地中海食の基本:何をどれだけ食べたら良いか
地中海食では、何をどれだけ食べたら良いかを示した「地中海食ピラミッド」があります。1993年に、アメリカのNPO法人Oldwaysがハーバード大学公衆衛生大学院・世界保健機構(WHO)協力のもと作成したものです。
地中海食ピラミッドで示された食品と、それぞれの食べる頻度を以下に示しました。
・月に数回…牛肉や豚肉、お菓子やケーキなどのデザート
・週に数回…鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト
・毎週少なくとも2回…魚、シーフード
・毎日の毎回の食事…野菜、果物、全粒粉、オリーブオイル、豆、ナッツ類、マメ科植物および種子、ハーブやスパイス
・毎日…運動、誰かと一緒に食事をする
・適度に飲む…ワイン
・毎日飲む…水
このように、毎日の食事に野菜や豆類を取り入れ、肉より魚を中心とした食事は、日本の伝統的な和食とも共通しているといえます。
オリーブオイルだけに着目するのではなく、これらの食品を積極的に取り入れた食事を目指すことが、健康長寿への近道といえるでしょう。
【参考】
中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部(2022)
佐々木敏「佐々木敏の栄養データはこう読む!疫学研究から読み解くぶれない食べ方」女子栄養大学出版部(2015)
公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット 地中海食の特徴」