Yahoo!ニュース

水分は1日にどれくらい必要?適量と摂取のコツを管理栄養士が解説

成松由佳管理栄養士

「水をたくさん飲んだ方がいい」とはわかっていても、具体的にどれくらい飲めばいいのか分からない。1日2リットルとよく聞くけど、そんなに飲めない…そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

実は、適切な水分摂取量には意外な秘密があります。この記事では、1日の理想的な水分摂取量と、知っておくべき効果的な水分補給の方法をご紹介します。健康管理に役立つ、新たな視点が見つかるかもしれません。

1日に失われる水分の量は?

1日に必要な水分量を知るために、まずは人間の体から失われる水分の量について考えてみましょう。

体重70kgの人の場合、1日に排出される水分量は約2.5リットルと言われています。その内訳は、尿や便で1.6リットル、呼吸や汗で0.9リットルです。この排出される水分を補うために、同量の水分を摂取する必要があります。

意外なところに水分が!飲み水としての摂取目安は?

しかし、1日2.5リットルの水を飲む必要はありません。実は、私たちは意識せずに「見えない水分」を摂取しているのです。

それは、食事に含まれる水分です。みそ汁やスープなどの汁物、牛乳などは分かりやすい例ですが、固形の食品にも意外と多くの水分が含まれています。例えば、ご飯(白米)には60%、パン(食パン)には40%、卵には76%、肉・魚には60~70%、野菜・果物類には80~90%以上の水分が含まれています。

これらを合わせて、私たちは食事から1日に約1リットルの水分を摂取していると言われています。

さらに、私たちの体内では栄養素をエネルギーに変換する際に「代謝水」と呼ばれる水が1日で約0.3リットル作られています。

これらの要素を考慮すると、飲み水として摂取すべき量は以下のように計算できます。

排出される量2.5リットル-(食事からの摂取1リットル+代謝水0.3リットル)=1.2リットル

つまり、飲み水は1日に1.2リットルが目安です

効果的な水分補給のコツ

水分の摂取量は、平均的にはあとコップ2杯分が足りていないといわれています。

適切な水分摂取を心がけるためには、以下のようなコツを意識するとよいでしょう。

・喉が渇く前にこまめに飲む
・入浴前後、就寝前、起床時に意識して飲む

入浴や睡眠時にも汗をかくため、その前後に水分補給をすることをおすすめします。起床後、入浴前と後、就寝前にそれぞれコップ1杯ずつ水を飲めば、それだけでも800ミリリットル分になります。

また、「しっかり水分をとろう」と意識する際には、飲み水だけでなく「食事を抜かずにきちんと食べる」ことも大切です。食事を規則正しく食べることで、水分の摂取量を自然に確保できます。特に暑い時期には、朝食をしっかりとることが熱中症対策のためにも大切です。

まとめ(筆者作成)
まとめ(筆者作成)

適切な水分摂取は健康維持に欠かせません。この記事を参考に、日々の水分摂取量を見直してみてはいかがでしょうか。

【参考】

・国土交通省「「健康のため水を飲もう」推進運動

・環境省「熱中症環境保健マニュアル2022

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

管理栄養士

大学卒業後、管理栄養士資格を取得。大学院修士課程修了後、製薬メーカーでの勤務を経て、栄養指導に従事。自身も食事改善によって長年悩んでいた便秘や肌荒れを克服。現在はフリーランスとして主にWebライターとして活動。研究経験により身につけた科学的根拠のリサーチ力と、栄養相談にて生活に寄り添った提案をしてきた経験を活かし、食事に悩む時間や精神的なストレスを減らせるよう情報提供している。

成松由佳の最近の記事