LDLコレステロールが高いと言われたら?食事と運動のポイントを管理栄養士が解説
快腸ナビゲーター/管理栄養士の成松由佳です。
血圧・中性脂肪・尿酸に続いて、健康診断の結果対策シリーズ第4弾です。
今回のテーマは「LDLコレステロール」
いわゆる悪玉コレステロールです。
こんな疑問を解決すべく、人間ドックでの勤務経験のある管理栄養士が解説していきます。
LDLコレステロールが高いのはいくつから?放置するとどうなる?
血中のLDLコレステロールの正常範囲は、140mg/dl未満です。これを超えると、脂質異常症の一種である「高LDLコレステロール血症」といわれる状態になります。
その手前の120~139mg/dlの場合は「境界域高LDLコレステロール血症」いわゆる予備軍の状態です。
LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ大切な役割を持っています。ただし血液中で増えすぎてしまうと、LDLコレステロールが血管の壁にたまり、血管が硬く・狭くなる「動脈硬化」を進行させます。動脈硬化が進行することで、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの病気を引き起こします。
LDLコレステロールを下げる食事のポイント
LDLコレステロールに関連する栄養素と、改善のための食事のポイントを解説します。
※脂質異常症やその他の生活習慣病で通院治療中の方は、主治医の指示に従ってください。
動物性の脂質を減らす
肉類やバター、生クリームなどに含まれる動物性の脂質は「飽和脂肪酸」と呼ばれ、とりすぎるとLDLコレステロールを上げることが知られています。
一方、魚や大豆製品、植物油などに含まれる脂質は「不飽和脂肪酸」であり、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えるとLDLコレステロールを下げるのに役立ちます。
具体的な置き換え方の例を紹介します。
・肉は脂身の少ない種類や部位(鶏肉、牛・豚ならもも肉)を選び、バラ肉やベーコン・ソーセージは頻度を控える
・肉料理を減らし、魚や大豆製品がメインの料理を選ぶ
・パンはクロワッサンやデニッシュを控え、脂質の少ない食パンやベーグルなどに替えるか、ご飯食の頻度を増やす
・洋菓子(ケーキ、チョコレート、アイスクリームなど)を控え、間食は和菓子に替える
コレステロールのとりすぎを避ける
飽和脂肪酸より影響は小さいものの、コレステロールのとりすぎも血中コレステロールの値に影響します。
最近では「日本人の食事摂取基準」でコレステロールの上限値が撤廃されたことから、「コレステロールの摂取量は気にしなくても良い」と思われることが多いですが、どれだけとっても良いという意味ではないため注意が必要です。特に、すでにコレステロール値が高くなっている人では、1日の摂取量を200mg未満に抑えることが推奨されています。
コレステロールは卵やレバー、卵を使った洋菓子などに多く含まれます。血中コレステロールが高い場合は、これらの頻度や量を控えるとよいでしょう。
食物繊維をとる
食物繊維の摂取はLDLコレステロールを下げるのに役立ちます。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、特に水溶性食物繊維で改善効果がみられています。
食物繊維が多く含まれる野菜やきのこ、海藻を積極的にとることが大切です。野菜の中でもごぼうやブロッコリー、オクラ、かぼちゃに多く含まれます。これらの野菜を含め、1日当たり350gを目安にとりましょう。
また、玄米やもち麦、全粒粉などの穀類も食物繊維が多い食品です。これらを主食に取り入れるのもおすすめです。
コレステロール対策のための運動とは?
有酸素運動を1週間に150分以上行うことで、LDLコレステロールが改善されることが知られています。「楽である」~「ややきつい」と感じる中強度の有酸素運動を、1日合計30分以上、週3日以上(可能であれば毎日)実施するのが目安です。
ウォーキングや速歩、水泳や水中運動、サイクリング、ダンスなど、自分に合った種類の運動を取り入れてみましょう。また、運動以外にもこまめに歩くなど、できるだけ座ったままにならないよう工夫することも大切です。
※血圧・血糖で治療中では運動不可の場合もあるため、主治医に確認した上で実施してください。
【参考】
一般社団法人日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」