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尿酸値が高いと言われたら?食事と運動のポイントを管理栄養士が解説

成松由佳快腸ナビゲーター/管理栄養士

快腸ナビゲーター/管理栄養士の成松由佳です。

血圧中性脂肪に続いて、今回も健康診断の結果について、対策のポイントを解説します。

今回のテーマは「尿酸」
「高いと痛風になる」ことはよく知られており、数値を意識されている方も多い印象を受けます。

・今のところ痛みはないけれど、このままで大丈夫?
・食事や運動で下げるにはどうしたらいいの?

そんな疑問に、人間ドックで勤務経験のある管理栄養士がお答えします。

尿酸はいくつからが要注意?高いと何が起こる?

尿酸値は、血液中に含まれる「尿酸」の値を示しています。正常値の上限は7.0mg/dlで、これを超えると「高尿酸血症」と診断される値です。
特に9.0mg/dl以上の場合、または8.0mg/dl以上でも肥満や糖尿病・高血圧などの合併症を伴う場合は、薬などでの治療も考慮されます。

血液中の尿酸が増えると、結晶化した尿酸が足先の関節に蓄積し、炎症を起こすことで痛風発作につながります。また尿酸が腎臓や尿路に析出し、腎機能の低下や尿路結石を引き起こす恐れがあります。

尿酸値を下げる食事のポイント

尿酸値を下げ、痛風発作や尿路結石などを予防する食事のポイントを解説します。
紹介する食べ物や飲み物の種類に気をつけ、できることから取り入れてみましょう。

※通院治療中の方は、主治医の指示に従ってください。

①食べすぎに注意し適正体重を維持する

尿酸は体内でプリン体をもとに作られます。肥満によって体内のプリン体の合成が促進されるため、体重を減らし適正体重を維持することが大切です。

体重が適正かどうかは、国際的な指標である「BMI」で判断できます。BMIは以下の計算式で求められます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

身長はcmではなく、mで計算するのがポイントです。BMIが25以上で肥満に分類されます。尿酸値の改善や痛風の予防には、BMI25未満を目指すことが勧められます。

また食べ過ぎを防ぐことは、プリン体の摂取量の減少にもつながります。食事は満腹まで食べずに、腹八分目を意識しましょう。特に、体脂肪が蓄積されやすい時間帯である夜間の飲食を控えめにするとよいでしょう。

②プリン体の摂取量を減らす

プリン体は肉類や魚類に多く含まれるため、おかずが多くなりすぎないよう注意が必要です。肉や魚は、1食あたり片手のひら1つ分を目安にとりましょう。

特にプリン体が多く含まれるのは、レバー類や魚の干物(アジ、サンマ)、白子、カツオ、イワシ、エビなどです。これらを好んで食べている場合は、今より摂取量を減らしましょう。

また、野菜類にはプリン体が少ないため、野菜のおかずを増やすのもおすすめです。野菜に含まれる食物繊維やビタミンCは、痛風リスクを減らす働きが期待されています。

③アルコールの摂取量を減らす

アルコールは体内での尿酸の産生を高めるだけでなく、体外への排泄を抑える働きもあり、2つのメカニズムで尿酸値を上昇させます。アルコール摂取量が多いほど痛風の発症リスクが高まることも知られています。

プリン体を含むビールを控えればよいと思われがちですが、その他のお酒であっても適量摂取に抑えることが大切です。1日の目安量は純アルコール20g相当とし、週に2回は休肝日を設けるとよいでしょう。

アルコール20gに相当するお酒の目安

  • ビール…中瓶1本
  • 日本酒…1合
  • ワイン…2杯
  • 焼酎…半合
  • ウィスキー…ダブル1杯

④甘い飲み物を控える

砂糖や果糖などの糖分は、体内で代謝されるときにプリン体の分解を促進し、尿酸値を上げる作用があります。特にコーラやジュースなどの清涼飲料水は一気に砂糖をとりすぎてしまいやすいため、飲み物は水やお茶などの無糖のものに替えるのがおすすめです。

また水分を積極的にとることは、尿路結石の予防にも役立ちます。無糖の飲み物で、1日2Lを目安に飲むようにしましょう。

尿酸値対策になる運動は?

運動は、肥満の解消を通して尿酸の改善に役立ちます。ただし、過度な運動や筋トレなどの無酸素運動は、体内での尿酸の生成を高めてしまうため、かえって逆効果と考えられています。
尿酸が高い人では、ウォーキング程度の軽い有酸素運動がおすすめです。週3回程度の運動を習慣化し、継続して行うとよいでしょう。

【参考】

日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版
日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版ダイジェスト・ポケット版
厚生労働省「e-ヘルスネット 高尿酸血症
厚生労働省「e-ヘルスネット 高尿酸血症の食事
厚生労働省「e-ヘルスネット BMI

快腸ナビゲーター/管理栄養士

大学院修士課程修了後、製薬メーカーでの勤務を経て、特定保健指導に従事。自身も食事改善によって長年悩んでいた便秘や肌荒れを克服。「自分で自分を変えられる」実感から、心も前向きに変化するのを感じる。現在は健診専門クリニックでの保健指導を行いながら、フリーランスとしても活動。食事に悩む時間や精神的なストレスを減らし、自信を持ってやりたいことにチャレンジする土台を食で作れるようサポートしている。

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