中性脂肪が高いと言われたら?食事と運動のポイントを管理栄養士が解説
快腸ナビゲーター/管理栄養士の成松由佳です。
前回の血圧編に続き、今回も健康診断結果の解説と改善のコツをご紹介します。
今回のテーマは「中性脂肪」。
- 中性脂肪が高いってどういうこと?
- いくつから注意した方がいい?
- 改善するにはどうすれば?
そんな疑問に、人間ドックでの勤務経験もある管理栄養士がお答えします。
中性脂肪が高いといわれるのはいくつから?
中性脂肪(トリグリセライド)の基準値は、空腹時に測定した場合とそれ以外に(随時)測定した場合で異なります。「高トリグリセライド血症」とされる基準は、空腹時で150mg/dL、随時175mg/dLです。
この値を超えると動脈硬化を引き起こしやすくなり、心筋梗塞や狭心症などの病気のリスクが高まることが知られています。
また500mg/dLを超えると、急性膵炎のリスクも高まります。
中性脂肪を下げるための食事のポイント
中性脂肪を改善するためには、食事のどこに気をつけたらよいでしょうか。ポイントを4つ紹介します。
※脂質異常症の治療中の方は、主治医や管理栄養士の指示に従ってください。
適切なエネルギー量をとる
摂取するエネルギーが消費するエネルギーより多いと、余った分が体内で中性脂肪に変換されます。
腹八分目を心がけ、食べすぎを控えましょう。
糖質(炭水化物)をとり過ぎない
糖質をとり過ぎると、中性脂肪が上がりやすいことが知られています。ご飯や麺類の大盛りは避け、糖質の適量摂取を心がけましょう。
とはいっても過度な糖質制限を行う必要はなく、1日に必要なエネルギーの半分程度は糖質からとることが推奨されています。摂取量は体格や活動量によって異なりますが、ご飯・パン・麺などの主食を、1食あたり握りこぶし1個分を目安とするのがよいでしょう。
糖質の中でも、果物に含まれる果糖が特に中性脂肪を上げやすいことが知られています。
果物の1日の目安は、小さい果物(みかん、キウイなど)なら1個、大きい果物(りんご、なしなど)は半分程度とするのがおすすめです。
また、市販のジュースや清涼飲料水などにも果糖が含まれています。飲み物は無糖のものに変えましょう。糖分の多いお菓子などの加工食品も今より摂取量を控えるとよいでしょう。
アルコールを控える
アルコールのとり過ぎも中性脂肪の値を悪化させる原因です。飲み過ぎを控え、適量に留めましょう。
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、飲酒は純アルコールで1日25g以下にすることが推奨されています。
アルコール25g前後となるお酒の量
- ビール:ロング缶1本(500mL)…20g
- 日本酒:1合(180mL)…22g
- ワイン:2杯(240mL)…24g
- 焼酎:半合(90mL)…18g
- ウイスキー:ダブル1杯(60mL)…20g
肉を控えて魚をとる
魚に含まれるn-3系脂肪酸(DHA、EPA)には、中性脂肪を下げる作用が知られています。特にサバやブリ、イワシ、アジなどの青魚に多く含まれるため、これらの魚を1日に一切れとるようにしましょう。
調理に手間をかけられない場合は、サバ缶などの缶詰の利用がおすすめです。
中性脂肪が高い人におすすめの運動は?
食事と合わせて運動を行うことで、中性脂肪の改善効果がさらに見込めます。
特にウォーキング、速歩、水泳、サイクリングなどの有酸素運動が効果的です。これらの有酸素運動を中心に、毎日30分以上、週3日以上を目標に実施しましょう。強度は中強度(ややきついと感じる程度)がおすすめです。
運動以外にも、こまめに歩くなど、座ったままの生活を避け活動量を上げましょう。
※脂質異常症の治療中の方は、主治医や管理栄養士の指示に従ってください。
参考文献