「お金」と「やりがい」どっちが大事? 子どもに「何のために仕事やるのか」と聞かれたらどう答える?
■「やりがい」よりも「お金」を重視する若者たち
失意のマネジャーと会ったことがある。彼女は悲嘆に暮れていた。手塩にかけて育てた部下が転職したのだ。そしてその理由が
「お金」
だった。
「この収入だと結婚しても子どもを持てない。夢は2人の子どもにマイホーム。だから、転職を決めました」
このように言われたのだと言う。しかもそれを聞いたのは、転職を決めた後だった。決意は堅く、もう止めようがなかった。
「わが社で働いたって、それぐらいの収入はもらえるのに!」
マネジャーはそう嘆いていた。
ふだんから「やりがいのある仕事がしたい」「成長できる仕事をさせてほしい」と言っていた。だから、まさか「お金」を理由に転職を決めるとは想像していなかった。
「今の若い人って、お金よりも『やりがい』を重視しますよね? そう信じ込んでいたせいで、すっかり勘違いしていた」
他にも、こう信じ切っている経営者がいた。実際にはどうなのだろうか?
統計データだけでいうと、実は「やりがい」よりも「お金」である。若い人ほど仕事に求めるのは「やりがい」よりも「お金」を重視しているのだ。
<目次>
■「やりがい」よりも「お金」を重視する若者たち
■統計では「やりがい派」より「お金派」が急増中!
■「お金」と「やりがい」ではスケール感が違いすぎる
■「資本主義のゲーム」を戦う私たちが余裕を持つために
■年収650万円なければ「安全の欲求」が満たされなかった25歳
■「やりたい仕事」と「やりがいのある仕事」は全然違う
■マネジャーは「Willハラ」に気をつけよう!
■統計では「やりがい派」より「お金派」が急増中!
「みんなの転職」サイトが調査した結果では、近年「やりがい」よりも「お金」を求めて仕事選びをしている。
その傾向は20~30代の若者に顕著だ。その割合は2021年以降に逆転し、ドンドン差が広がっている。
実際のデータを見てみよう。
・2017年 お金(45%) やりがい(55%)
・2018年 お金(48%) やりがい(52%)
・2019年 お金(51%) やりがい(49%)
・2020年 お金(52%) やりがい(48%)
・2021年 お金(50%) やりがい(50%)
・2022年 お金(56%) やりがい(44%)
・2023年 お金(59%) やりがい(41%)
「衰退途上国」とまで言われる日本に希望を持てなくなった、ということだろうか。
ロマンチストよりもリアリストの若者が増えていることを、上司たちは心に留めておいたほうがいいかもしれない。
もちろん、誰だって「お金」も「やりがい」も両方を満たしたい。しかし、どちらかを選べと言われたら「お金」と答える人のほうが増えている、ということだ。
それに、誰だって
「仕事に求めるものは何か?」
と質問されて、
「お金」
とは、なかなか答えられない。相手の心象や周りの目も気になる。本音を言えない空気があれば、
「やりがい」
と口にする人も多いことだろう。だから
「私はお金よりも、やりがいを重視したいです」
と言われても、十分に気を付けたい。その発言をどこまで真に受けたらいいのか、わからないからだ。
■「お金」と「やりがい」ではスケール感が違いすぎる
ケースバイケースだが、私も「やりがい」より「お金」のほうを重要視したほうがいいと考えている。
なぜなら、「お金」と「やりがい」とは、比較してはいけないほどスケール感が違うからだ。
雑談ネタとしてなら比較していいかもしれない。だが、真剣に考えるつもりなら、この後の文章をしっかり読んで、考える材料にしてもらいたい。
では「お金」と「やりがい」について、2つの切り口を用いて考えてみよう。
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