降格は「パタハラ」だと男性社員が会社を提訴 今後どうなる?法規制の内容は #専門家のまとめ
「パタハラ」と呼ばれる父性(パタニティ)に対するハラスメントを巡る裁判が話題となっています。男性社員が子の育児のために深夜業務の制限などを申し出たところ、降格や転籍させられたとして会社に損害賠償などを求めているものです。ネット上では「企業の労働環境の改善が必要だ」という意見が示される一方で、「育児と仕事の両立は難しい」といった声も上がっています。法規制の内容を含め、参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
会社側が育児休業などの申し出を拒否したり、降格などの不利益な取り扱いをしたりした場合、育児・介護休業法違反となり、社員は会社側に処分の無効を主張し、慰謝料などを請求できます。罰則こそないものの、会社側が行政指導を受けることもあります。
ただし、(1)業務上、真にやむを得ない場合や、(2)本人が真に同意している場合には、例外的に降格や転籍なども可能だとされています。(1)は経営状況や本人の能力などを踏まえて判断され、(2)も会社側の適切な説明やほかの社員ですら同意するような客観的な理由が必要です。
すでに「パタハラ」を巡る裁判例も複数存在します。病院や社会福祉法人、商事会社、出版社、証券会社、スポーツ用品メーカーなどを巡る事件であり、社員の請求が棄却されたものもありますが、大半が提訴後に和解に至ったり、判決で会社側に損害賠償が命じられたりしています。
今回のケースも、男性社員が主張する社長らの言動のほか、(1)(2)の有無が裁判で問題となるでしょう。(2)については男性社員がサインした始末書や同意書があるものの、男性社員は無理強いされたと主張しているところです。(了)