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井之頭五郎レッドカーペット登場に韓国観客ややウケ 『孤独のグルメ』釜山凱旋に厚遇?

武井保之ライター, 編集者
小道具を手に井之頭五郎でレッドカーペットに登場した松重豊(C)BIFF2024

アジア最大級の映画祭『第29回釜山国際映画祭』が10月2日に韓国・釜山シネマセンターで開幕した。オープニングセレモニーには、今年も日本から出品作の監督、俳優たちが多数出席。アジアだけでなく世界中から映画人が集結し、満席の会場のレッドカーペットを華やかに彩った。

有村架純、坂口健太郎へ韓国映画ファンの歓声が飛び交った

なかでも会場を大きく盛り上げたのは、韓国のトップスターたち。日本では『イカゲーム』で知られるイ・ジョンジェや、『ベイビー・ブローカー』(是枝裕和監督)に出演したカン・ドンウォン、『最悪の悪』や『サムダルリへようこそ』などヒット作が続くチ・チャンウクのほか、ソン・ジュンギ、キム・ソンチョルら人気俳優、セレモニーMCのパク・ボヨンとアン・ジェホンらが大歓声を集めた。

日本からは、『さよならのつづき』の有村架純、坂口健太郎に歓声が飛び交い、『孤独のグルメ』が韓国でも人気の松重豊は、小道具を手に井之頭五郎の演出でレッドカーペットを歩き、大盛り上がりとまではいかなかったが会場を沸かせた。

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レッドカーペットで観客の歓声に応える黒崎博監督、有村架純、坂口健太郎(左から)(C)BIFF2024
レッドカーペットで観客の歓声に応える黒崎博監督、有村架純、坂口健太郎(左から)(C)BIFF2024

歓迎された釜山に縁がある『孤独のグルメ』の凱旋

松重が監督・脚本・主演を務めた『劇映画 孤独のグルメ』は、オープニングセレモニーの翌日夜(10月3日)に、同会場と同じ釜山シネマセンターの屋外メインシアターでの上映が予定され、オープニング作品とクロージング作品に次ぐ扱いになる。

(関連記事:松重豊、制作参加した『孤独のグルメ』進退をかける覚悟「おもしろくなければ退場する」

また、同上映の前には、約50分にわたって映画について深く語る同映画祭の名物トークイベント「オープン・トーク」に松重が登壇するほか、各回の上映後に観客からの質問に答える約30分のティーチインにも参加。映画祭メインシアターで大勢の観客の前に立つことになる。

『孤独のグルメ』といえば、2019年に放送された『孤独のグルメ大晦日スペシャル』は釜山が舞台のひとつになり、松重が釜山ロケを行っているほか、すでに韓国でも人気ドラマとなっている。そんな同作の劇場版の釜山凱旋を、映画ファンとともに映画祭も厚遇で歓迎しているかのようだ。

黒沢清監督へポン・ジュノ監督と濱口竜介監督からビデオメッセージ

一方、レッドカーペットのあとのオープニングセレモニーには、今年の「アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー」賞に選ばれた黒沢清監督が登壇。1年を通してアジア映画産業と文化の発展にもっとも貢献したフィルムメーカーとして表彰を受けた。

釜山シネマセンターの屋外メインシアターで開催されたオープニングセレモニーで表彰を受ける黒沢清監督/筆者撮影
釜山シネマセンターの屋外メインシアターで開催されたオープニングセレモニーで表彰を受ける黒沢清監督/筆者撮影

セレモニーでは、黒沢監督のフィルムメーカーとしての軌跡をまとめた映像と、ポン・ジュノ監督と濱口竜介監督からの祝福のビデオメッセージが流された。

そして、ステージに上がった黒沢監督は「映画を撮りはじめて40年。釜山国際映画祭には20年前から呼んでいただき、映画人生の半分を見守られていたと言ってもいい」と振り返る。

さらに、名誉ある賞の受賞に感激しながら、「今年2本映画を完成させましたが、世界でもっともハイレベルな映画祭である釜山国際映画祭でその2本が上映されることがなによりうれしい」と喜びを語った。

なお、この日のセレモニーには、前述の4名のほか日本映画から『さよならのつづき』の黒崎博監督、『金子差入店』の古川豪監督、『ひとりたび』の石橋夕帆監督、脚本の上村奈帆、長村航希、日英米合作ドキュメンタリー『Black Box Diaries』で自身の闘いを描いた伊藤詩織監督、日米合作『HAPPYEND』(空音央監督)の栗原颯人、日高由起刀、林裕太らが出席した。

同映画祭は10月2日〜11日まで10日間にわたって開催され、7劇場28スクリーンで世界63ヵ国から224本の作品が上映される(日本映画は国際合作を含め20作品)。

クロージング作品は、カトリーヌ・ドヌーヴ主演、エリック・クー監督で堺正章、鈴木慶一、竹野内豊、でんでん、風吹ジュンらが出演する『スピリット・ワールド』(フランス、シンガポール、日本合作)。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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