スマホ使用で即日騎乗停止の岩田康誠騎手と、あえて彼のジョッキーパンツを着用したトップジョッキーたち
11月の再発防止策発表後、初のスマホ不適切使用による処分
15日朝、岩田康誠騎手はスマートフォンの不適切な使用があったということで即日騎乗停止になった。JRAは11月28日に騎手のスマホ利用を厳格化する旨を発表しており、岩田康誠騎手はそのルール違反の第一号となってしまった。
JRAが11月28日に発表した再発防止策は以下の3つだった。
1) 調整ルーム入室時に手荷物検査を実施
2) 土日の競馬場間の移動、また騎乗日朝のトレセンから競馬場への移動の際に調整ルーム到着時にスマートフォンの履歴を調査
3) 調整ルーム居室時の抜き打ち検査
岩田康誠騎手は14日の中京競馬から15日の京都競馬へ移動する際、コメント欄のあるYouTubeの音楽を視聴した履歴が発覚し、処分が下された。これにより、15日のGⅠの朝日杯フューチュリティステークスのダイシンラーら7鞍に騎乗予定だったが全て乗り替わりとなった。
3名の騎手が岩田康誠騎手のジョッキーパンツを着用してレースへ
この日、ちょっとした異変があった。クリストフ・ルメール騎手、坂井瑠星騎手、岩田望来騎手の3名が普段は岩田康誠騎手が着用している「Yasunari J」の文字が入ったジョッキーパンツを着用し、レースに挑んでいたのだ。
これらの行動が何を意味しているのか、想像はできても本心は本人たちにしかわからない。しかし、彼らの岩田康誠騎手を思う気持ちの表れだと筆者は解釈している。
また、8レースではクリストフ・ルメール騎手が、10レースでは坂井瑠星騎手が勝ったが、平場にも関わらず岩田康誠騎手を彷彿させるガッツポーズを見せていたことも書き加えておく。
処分は仕方ないが、馬券を買ったファンの心中は?
確かに移動中にコメント欄のあるYouTubeで音楽視聴をしてしまった岩田康誠騎手の脇の甘さは否定できないし、現在の状況を鑑みると何らかの処分を受けるのは当然だ。
しかし、即日騎乗停止処分にする必要はあったのだろうか、とは筆者は考える。岩田康誠騎手が関わるレースは既に前日発売で馬券は売られており、馬券購入者もある意味、利害にかかわっているからだ。
JRAの売上を支えるファンへのルール公開を
また、スマートフォンの使用を制限する本来の目的は"公正競馬の確保"である。しかし現状、JRAから与えられる情報を見るかぎりでは、騎手のスマホ使用を懸命に取り締まっている印象を持たれても仕方ないようにうつる。
先に佐々木大輔騎手が1か月の騎乗停止処分になったが、これは他の騎手が調整ルーム内で外部と通信を行った際に同席し、その通信内容に添付された画像から通信行為に間接的に関わっていたと認定されている。
ここまで厳格に騎手たちを処分するのであれば、JRAもその運用ルールを事故が起きた後に詳しく説明するのではなく、事前に一般ファンにもわかるように公開してはどうか、と常々感じている。ファンはJRAの売上である馬券を買う当事者だからだ。
あと、気になったのは土曜の最終レース終了後から日曜のレースのための調整ルームへの入室時間についてはルールの拘束を解除されないのに対し、土曜のレースのための調整ルームへの入室時間まではルールが適用されないというのも、いささか疑問が残る。
また一般的に、特に海外のウェブサービスは何の予告もなくサービスの仕様を変更することはしばしばある。数多くのサービスについて、現状の内規を都度変更していくだけのスピード感はあるのか、とても気になるところだ。
いずれにせよ、馬券を買う当事者であるファンにもわかりやすく全てのルールを公開することがお互いのためになると考えるが、それは求めすぎだろうか。