『ドクターX』が大差で『モアナ2』に敗れた衝撃 ヒット縮小するドラマ映画と勢い取り戻すディズニー
正月映画興行の本命となる、邦画と洋画それぞれの大作『劇場版ドクターX』と『モアナと伝説の海2』が、ともに12月6日から公開された。
その結果は、公開3日間で『モアナと伝説の海2』は動員67万9000人、興収9億3800万円。『劇場版ドクターX』は動員44万1000人、興収6億400万円。『モアナと伝説の海2』が週末興行収入と動員数ともに上回り、映画ランキング1位を獲得した。注目されるのは大差がついたことだ。
『劇場版ドクターX』は、2012年10月期からシリーズ7作とスペシャルドラマ1作が放送されてきた国民的人気の医療ドラマ『ドクターX 外科医・大門未知子』のシリーズ完結編。毎シリーズ高視聴率をたたき出す鉄板の人気ドラマの劇場版だ。
一方、『モアナと伝説の海2』は、『第89回アカデミー賞』『第74回ゴールデングローブ賞』など数々の映画賞にノミネートされた『モアナと伝説の海』(日本公開2017年)の続編。11月27日の北米公開では、5日間のオープニング成績で映画史上No.1の興収記録を樹立するなど数々の記録を塗り替え、世界興収はすでに6億ドル(約900億円)を突破している世界的ヒット作。
そんな注目作の対決だったが、思いのほか差が開いた。
(関連記事:『モアナ2』『インサイド2』続編の記録的世界ヒット連発の背景にディズニー地殻変動か)
それぞれ平日と週末が集客メインの対照的な興行になった
日本の興行市場では近年、洋画の苦戦が続いているが、今年はディズニーが『インサイド・ヘッド2』で5年ぶりに50億円を超えるヒットを生み出しているほか、『デッドプール&ウルヴァリン』『マッドマックス:フュリオサ』『オッペンハイマー』など10~20億円のスマッシュヒットも続いていた。
一方、邦画実写では、テレビドラマの映画化作品のヒット規模の縮小が近年続いている。昨年は『ミステリと言う勿れ』と『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』が40億円を超えるヒットになったが、今年はそういった作品がなく、興収10億円前後がデフォルトになりつつある。
もちろん興収は作品によってそれぞれ異なるが、そんな市場の勢いがそのまま反映される興行になった。
また、その興行の内容では、両作は対照的な集客状況になっているようだ。
年配層のドラマファンが多い『劇場版ドクターX』は、平日の興行で数字を積み重ねている。一方、『モアナと伝説の海2』は、モアナのキャラクター人気から圧倒的に女性が多く、子どもたちファミリー層を含めて週末の興行が柱になり、映画ファン以外への観客の裾野の広がりが興収を押し上げている。
ディズニーは、本作の最終興収は70億円も視野に入るとし、4週連続先着入場者プレゼントなどのプロモーション施策を掲げ、引き続きディズニーファンを含めた一般層へ向けてアピール。落ちの少ない興行を目指していく。
ただ、70億円は作品の内容が伴わなければ実現しないだろう。本作の内容面にはいろいろな声もある。評価の高かった『インサイド・ヘッド2』(53.6億円)を超えるかは、2週目の興行である程度見えてくるかもしれない。
引き続き2025年興行の最初のトピックになるであろう本作の動向に注目していきたい。
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